本研究は、血小板との相互作用依存的に活性化されるがん細胞内のシグナル伝達経路を明らかにし、その経路の阻害剤を創製することで血行性転移阻害剤とすることを目的に行った。研究代表者は、血小板と肉腫細胞の直接的相互作用が、肉腫細胞の増殖と薬剤抵抗性を亢進することで腫瘍悪性化に寄与することを見出し、その鍵となるシグナル伝達経路としてPI3K-Aktを特定した。さらに、肉腫細胞は血小板凝集促進因子Aggrus依存的に血小板凝集を誘導することが示されたことから、抗Aggrus中和抗体が血行性転移阻害剤として有用である可能性が示唆された。
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