研究課題/領域番号 |
23701113
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
遠藤 整 東海大学, 医学部, 助教 (10550551)
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キーワード | 遺伝子環境相互作用 / Nrf2 / 浸潤 / 酸化ストレス応答 |
研究概要 |
本年度は、Nrf2によるMMP-9遺伝子の直接的な発現調節機序について検討することを目的とした。Nrf2強制発現ベクターを作成し、MMP-9の発現がほとんど認められないHCC-T細胞とMMP-9遺伝子の発現が常に認められるHLE, HepG2細胞に導入し、安定発現株を樹立した。全ての細胞株において、Nrf2の安定発現によって、Nrf2標的遺伝子であるHMOX-1とNQO-1遺伝子の発現誘導を認めた。一方、MMP-9の転写活性化に関わることが知られるc-Jun, c-Fosの発現量に変化はなかった。 MMP-9プロモーター領域を転写因子結合予測サイトで検索すると、MMP-9プロモーター上の2つのAP-1 siteはGCを末端に含むことが分かり、Nrf2結合配列ARE(Antioxidant Responsive Element)として機能することが示唆された。そこで、MMP-9プロモーター領域をクローニングし、Nrf2の一過性強制発現によるルシフェラーゼアッセイを行ったところ、Nrf2の用量依存的なMMP-9の転写活性化が認められた。さらに詳細な検討を行うため、MMP-9プロモーター領域内の転写因子結合部位に対し変異挿入を行い、MMP-9の転写活性を測定した。NF-kBへの変異はNrf2によるMMP-9の転写活性化にほとんど関与せず、ARE siteが転写調節に重要であることが分かった。現在は、Nrf2のノックダウン実験を行うことでより詳細に検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の目標は、Nrf2によるMMP-9遺伝子の直接的な調節機序を解明することである。当初の計画通り、MMP-9のルシフェラーゼコンストラクトと変異挿入コンストラクトを作成し、詳細な転写活性化機序を検討することが出来た。当初予定以上の進捗を目指し、更に詳細な検討を行うためにノックダウン実験を計画したが、再現性ある結果を積み重ねるまでにはもうしばらく時間が必要であった。以上のことから、申請書の計画通り順調に遂行したと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、Nrf2による浸潤調節機序について動物個体を用いて検討することが目標である。当初の予想通り、Nrf2によるMMP-9の発現調節機序が詳細に明らかとなったため、Nrf2強制発現株やNrf2活性化剤を用いた腫瘍形成能について総合的に検討することが必要となる。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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