研究課題/領域番号 |
23710002
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
長澤 真樹 東京大学, 大気海洋研究所, 技術職員 (60447448)
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キーワード | 乱流計測 |
研究概要 |
(1)学術研究船淡青丸によるKT-12-5次航海(2012.4/9-4/16)、学術研究船白鳳丸によるKH-12-5次航海(2012.10/7-11/18)において自己記録式の乱流計(Microrider6000 以下MR)を一般的な観測プラットフォームであるCTD架台に取り付けて観測を行い、乱流観測データを取得した。 (2)平成24年度までに蓄積されてきた、従来型の正確に乱流が計測できるケーブル式乱流計(VMP2000、VMP500)により取得されたデータとMRにより取得されたデータの整理を進めた。特に、KT-10-19次航海(2010年9月)での観測結果については詳しく解析を行い、MRおよびVMP500のデータを比較することでMRが正しく乱流を計測できているかの評価を行った。MRに搭載の温度センサーにより計測された水温の鉛直微細構造からの乱流強度の見積もりでは、定性的には乱流強度の変動がとらえられていることが分かった。一方、MRに搭載のシアーセンサーにより計測された水平流速の鉛直微細構造からの乱流強度の見積もりでは、船体の動揺によりMRが振動してしまうことがデータに悪影響を及ぼしていた。しかし、振動が比較的小さい区間に限れば、少なくとも定性的には乱流強度の変動をとらえられていることがわかった。また、定量的にはどちらのセンサーからの見積もりでも乱流強度を過小評価してしまう傾向があることが分かった。現在、CTDの一般的な降下速度1m/sで、512Hzでデータ取得を行っており、これでは乱流の微細な構造を計測するには分解能が足りないものと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
観測及び観測実施のための準備に当初の予定より時間を費やしてしまったため、プログラム開発が遅れ、それに伴いデータの評価も遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
MRにより取得される水温、水平流速の鉛直構造の空間分解能を上げるためデータ取得周波数を従来の512Hzから1024Hzに上げ、定量的な乱流強度の見積もりがどの程度改善されるか効果を確かめる。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度もデータ取得周波数を替え引き続きMRの観測を続行する。シアーセンサー、水温センサーは大変破損しやすく、破損してしまった場合はほとんどの場合修理不能で交換が必要である。また、最近、MRのデータの評価のために比較が必要なケーブル式乱流計VMP500のデータにケーブルの劣化が原因とみられるデータ不良が相次いでいる。24年度未使用分の研究費は、25年度、シアーセンサー、水温センサー及びVMP500用のウィンチケーブルの交換費用に充てる。24年度の破損センサー等、修理費については研究協力者である安田一郎教授の経費より大部分を負担していただいた。
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