(1)ロシア船マルタノフスキー号航海(2014.6/2-7/8)、研究船みらいによるWOCE-P01観測航海(2014.7/17-8/24)、学術研究船白鳳丸によるKH-15-1次航海(2015.3/6-3/26)において自己記録式の乱流計(Microrider6000 以下MR)を一般的な観測プラットフォームであるCTD架台に取り付けて観測を行い、乱流観測データを取得した。 (2)CTD架台に取り付けたMRのデータの空間分解能が低いことによる乱流強度の過小評価を改善するために、前年度より通常のサンプリング周波数の倍の1024Hzでデータの取得を行ってきた。しかし、改善は見られず、温度センサーのレスポンスの遅さが問題であることが分かった。本年度はデータにフィルタ処理を施すことにより乱流強度の過小評価を改善できないかの検討を行った。その結果、3msの時定数を持つ二極のローパスフィルター型の周波数応答補正を温度データに施すことにより、温度センサーのレスポンスの遅さに起因する乱流強度の過小評価は補正できることが分かった。この補正を施した上で、CTDに搭載したMRで得られたデータと従来の自由降下型の乱流計で得られたデータを比較した結果、速度の変動が大きい区間(具体的にはlog10(dW/dz/W)>-0.5、 W:降下速度)でのデータを除外することで、CTD搭載のMRでも良好な乱流データが得られることが分かった。 この手法を用いて2014年7-8月に実施されたWOCE-P01観測で得られたMRのデータを解析し、太平洋の北緯47度に沿って東西に横切る海面から海底に至る乱流強度分布を得ることができた。
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