本研究では、海洋の炭素・窒素サイクルの促進に関わるウイルスの感染・溶菌現象に着目し、海洋溶存有機物プールへの供給に寄与する宿主細胞溶解物のプロテオーム組成を明らかにした。海洋シアノファージの代表株を用いて調製した宿主シアノバクテリアの培養溶菌液に由来する溶存有機物のプロテオーム解析を行った。その結果、溶菌後の溶存態画分中のプロテオームの主な構成は、光合成関連タンパク質や糖質・アミノ酸代謝関連酵素、ウイルス構造タンパク質であった。ウイルス溶菌後に溶存態として存在するプロテオームの形成には、細胞に含まれるタンパク質分子の違い・細胞内局在の違いが関わっている可能性が考えられた。
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