浮遊性有孔虫の殻の安定炭素同位体比は、過去の海洋物質循環の指標として活用が期待されている。しかし、浮遊性有孔虫の多様性・生態、特に共生藻との関係が不明であるため、指標としての実用に至っていない。そこで、分子系統解析を基に浮遊性有孔虫の遺伝子型を同定し、海流と遺伝子流動の関係や水温と形態的多型の関係を解明した。さらに、定点での時系列解析を行い、浮遊性有孔虫と共生藻の遺伝子型の産出が季節変動を示すことを初めて解明した。また、季節間で同一宿主に共生する藻類の種・構成を比較することにより、宿主(浮遊性有孔虫)と共生藻の特異性は低いことを明らかにした。
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