研究課題/領域番号 |
23710019
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研究機関 | 富山高等専門学校 |
研究代表者 |
間中 淳 富山高等専門学校, 専攻科, 助教 (90413757)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | オンサイト分析 / 変色数 / スリランカ / チュニジア |
研究概要 |
フッ素やヒ素等の有害物質の変色数による目視分析法の構築のため、これら分析対象物が関わる急激な変色を示す反応系の構築および変色数による各種有害物質の目視分析法を開発することができた。この結果はこれまでの色の濃淡でこれら有害物質の濃度を判定する比色法が抱えていた測定者の色覚の違いに起因する分析結果の変動の問題を解決できる手法となり、誰もが明確に各種有害物濃度の判定が可能となった。また、実際に構築した反応系に基づく変色数による各種有害物質の目視分析法に関する研究成果を各学会で報告した結果、日本分析化学会第60年会ではロングディスカッション発表に選出・受賞、第11回高山フォーラムでは優秀賞を受賞し、第3回資源・環境対応セラミックス材料/技術研究討論会における招待講演等、開発した分析法のコンセプトに関して各学会から高い評価を得ることができた。加えて、ペラデニア大学が開催されたInternational Symposium on WATER Quality AND HUMAN HEALTH:CHALLENGING AHEADにおいてスリランカにおけるフッ素汚染の実情およびオンサイト分析の高い需要に関する情報を得ることができた。また、日本化学会第92春季年会においては、活発な研究成果の発表・意見交換を行えただけでなく、今後の課題となる分析反応系の固相化の検討を行う上で有力な情報を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書に記載した初年度の目標である水溶液中での変色反応のデジタル化および、変色数による各種有害物質の目視分析法の構築は達成することができているため、おおむね予定通りに研究計画が進行している。しかしながら、種々の成果発表における情報交換から、分析感度の問題や溶液反応であることに起因する途上国におけるオンサイト分析における試薬安定性や操作性・簡易性における課題が得られたため、これらの情報を活用し平成24年度はより途上国の実情に合った分析法の構築を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は平成23年度の研究成果に基づき、以下の内容で研究を行う。1)デジタル化変色反応の固相化および反応性の基礎的検討:目視分析のために開発した変色反応系の固相への担持化を行い、変色の様子、反応時間等固体化した分析反応系の反応性を検討する。2)途上国におけるオンサイト分析としての分析性能の評価:開発した手法をスリランカ、チュニジアにおける井戸水中のオンサイト分析に用い、開発した手法の簡易性・操作性等、各種途上国におけるオンサイト分析法としての分析性能を評価する。[研究協力者]●塚越義則(富山高専専攻科生)、山崎元、田村和也(富山高専学生):反応系の固相化および反応性の検討 ●笹井亮(島根大学准教授)、原尻孔明(株式会社ニチビ):反応系の固相化に関する助言・指導 ●五十嵐淑郎(茨城大学教授)、松永英之(産業技術総合研究所産官学連携コーディネーター):反応性に関する助言・指導 ●川上 智規(富山県立大学教授)、袋布晶幹(富山高等専門学校准教授):スリランカにおけるオンサイト分析に関する助言・指導 ●入江光輝(筑波大学准教授)、袋布晶幹(富山高等専門学校准教)、高貝慶隆(福島大学准教授):チュニジアにおけるオンサイト分析に関する助言・指導備考:なお、収支状況報告書において30万円以上の次年度使用額として計上されているが、これは、平成23年度末に執行した海外出張が4月以降の支払の為この分が計上されている。
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次年度の研究費の使用計画 |
種々の種類の固体に分析試薬類を固定化するため、試薬類、ガラス器具類の他、様々な固相の購入に対する費用を物品費に計上している。また、旅費としては成果発表・固相化のための情報収集のための出張旅費のみならず、実際の途上国におけるオンサイト分析を検討するため、スリランカやチュニジアへの渡航費用を計上予定である。その他に、産官学の研究者による意見交換による情報収集を目的とした研究会の開催や研究成果を論文にまとめるための費用の計上を予定している。
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