研究課題
主要な温室効果ガスである二酸化炭素とメタン濃度を観測するために、温室効果ガス観測技術衛星GOSATが2009年1月に種子島から打ち上げられた。本研究の目的は、GOSATデータや地上設置の高分解能フーリエ変換分光計(地上FTS)による観測ネットワーク(TCCON)のデータ、航空機観測データを利用して、アジア・オセアニア域における温室効果ガス濃度分布の詳細な構造を把握し、モンスーン活動との関連性を調べることである。GOSATに搭載されている温室効果ガス観測センサの短波長赤外バンドから推定された二酸化炭素とメタンのカラム平均濃度(XCO2及びXCH4、Ver. 02)と航空機観測データとを比較し、アジア域(日本、韓国、台湾、グアム、東南アジアなど)、オーストラリア、シベリアなど多くの地域で両データセットの相関が高いことが示された。一方で、GOSAT XCO2には1~2ppm程度の負のバイアスがあり、バイアスには季節性やトレンドがあると考えられる。様々なパラメータとの相関解析を行うことにより、アジア・オセアニア域におけるバイアスの要因を探っている状況である。
2: おおむね順調に進展している
航空機データやTCCONデータを用いたGOSATデータの検証により、アジア、オセアニア域における多くの観測サイトでGOSATデータと検証データとの相関が高く、またどの程度のバイアスを持っているのかが明らかになってきた。それにより、GOSATデータが科学的に利用できる状況になってきたと考えられる。
研究実績の概要で述べたように、GOSATデータにはバイアスの季節性やトレンドがあると考えられる。この結果は、季節依存するパラメータがバイアスの要因になっていることを示唆している。そこで、GOSATでXCO2やXCH4と同時に得られる多くのパラメータとの相関解析を行い、地域ごとのバイアスの要因を探っていく予定である。また、国内外における航空機データやTCCONデータの提供者とも密に連絡をとる必要があるため、国際学会などへの参加を検討している。
解析・図化ソフトの購入、または作業補助の外部委託を検討している。また、投稿論文が増えると予想されるため、論文の投稿料、校閲代としても使用する予定である。
すべて 2013 2012 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (7件) 備考 (2件)
Atmospheric Chemistry and Physics Discussions
巻: 13 ページ: 3203-3246
doi:10.5194/acpd-13-3203-2013
巻: 12 ページ: 28493-28523
doi:10.5194/acpd-12-28493-2012
Earth Observing Missions and Sensors: Development, Implementation, and Characterization II (Proceedings of SPIE)
巻: 852810 ページ: -
doi:10.1117/12.979663
http://www.nies.go.jp/rsdb/vdetail.php?id=205698
http://157.82.240.165/otenki/studylist.html