研究課題
本年度は、二次有機エアロゾル(SOA)モデルとして、揮発性ビン(VBS)モデル、詳細反応モデル(MCM)を用いた3次元モデル計算を新たに実施して、その計算精度を評価した。さらに、多数の感度実験を実施して、各SOAモデルの特性を詳細に評価するために、ボックスモデル上でSOAモデルの相互比較を行った。ここでは、VBSモデル、MCMに加えて、2種類の収率モデルとメカニカルモデルを用いて、東京で実測されたSOA/オキシダント比を基にモデルのSOA計算精度を評価した。その結果、収率モデルやメカニカルモデルはSOA生成量を顕著に過小評価しているのに対して、VBSモデルは実測を良く再現しており、MCMモデルは収率モデルと比較してもSOAの過小評価が顕著であった。また、VBSモデルを用いた感度実験結果から、当初想定していた低揮発性の揮発性有機化合物(SVOC)に起因するSOA生成量よりも、VOC起源の生成物のエイジングによるSOA生成量が卓越することが明らかとなった。また、揮発性分布を比較すると、VBSモデルでは低揮発性成分が他モデルよりも多く生成されているのに対して、MCMモデルでは低揮発性成分の生成が不十分であった。さらに、東京におけるSOAの発生源解析を実施したところ、従来広く使われていた収率モデルとVBSモデル・MCMモデルの計算結果は大きく異なっていた。この結果は、PM2.5などの発生源解析において、SOAモデルの選択によって推計結果が大きく異なることを意味しており、SOAモデルの精緻化が重要であることを強く示唆するものである。
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Journal of the Air and Waste Management Association
巻: (accepted)
DOI:10. 1080/ 10962247. 2013. 778919
Asia-Pacific Journal of Atmospheric Sciences
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Atmospheric Environment
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