研究概要 |
本研究では、統計的な手法を用いてモデル構造を簡略化していく客観的モデル簡略化手法を適用し、森林生態系における水利用の変動に影響を及ぼす要因の抽出を通じて、日本全域などの広域を対象とした森林生態系の水利用を予測するモデルを作成する事を目的とする。本年度は山地森林流域における流出特性を再現するために、近藤ら(1994, 水文水資源学会誌)による指数型タンクモデルに深部浸透を取り扱う改良を加えた流出サブモデルをBiome-BGCに組み込んだ。このモデルを森林理水試験地の長期降雨流出データに適用し、森林群落における蒸発散量推定に影響が大きいパラメータを特定し、客観的モデル簡略化手法を適用するためのパラメータ選定を行った。オリジナルのBiome-BGCに深部貯留及び深部浸透過程を加えることで、降雨時の洪水流出及び無降雨時の基底流出の両者の再現性が向上し、日本の森林が主に分布している山岳地域における水利用を評価するための環境が整備された。
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