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2012 年度 実施状況報告書

大気化学輸送モデルを用いたトップダウン手法による一酸化二窒素の全球収支の解析

研究課題

研究課題/領域番号 23710034
研究機関独立行政法人海洋研究開発機構

研究代表者

石島 健太郎  独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境変動領域, 研究員 (90399494)

キーワード一酸化二窒素 / 逆解析 / 先験値 / マルチエミッション計算
研究概要

大気中一酸化二窒素(N2O)は地球環境にとって非常に重要であるため、N2Oの全球循環の理解および収支解析を目的とした研究がここ数年非常に活発になってきた。昨年、大気化学輸送モデルによるN2O計算の相互比較を行う国際プロジェクトTransCom-N2Oが立ち上げられ、N2Oモデリングにおける様々な要素に対する共通理解が得られつつある。その中で、既存の生態系モデル等による陸域や海洋のN2O放出量変動の推定値が大気中のN2O変動をよく再現しないという問題がある。特に自然・人為放出源を含めた土壌からのN2O放出量の季節変動の位相が合わないというケースがある。そのようなN2O放出メカニズムに対する不理解を修正するためにインバースモデリング(逆解析)が行われる。逆解析ではフラックス先験値(prior-flux)を大気中濃度観測値を用いて修正するが、その結果はprior-fluxに影響されるという性質がある。そのため、prior-fluxができる限り現実的であり、その残りの僅かな真値との差を逆解析により修正するというのが理想である。しかしその逆解析において、N2Oのprior-fluxの真値からずれは、例えばCO2等のそれと比べて、上述したように、かなり大きいことが予想される。これは逆解析によるフラックス推定結果に含まれる人為的バイアスの大きな原因と成り得る。そのような問題を多少なりとも改善するために、本研究では複数のインベントリデータを用いたモデル計算を行い(マルチエミッション計算)、それら計算結果を用いて逆解析を行うことにより最適なprior-fluxの推定および実際のフラックス緯度分布の推定を行った。推定されたフラックス緯度分布は昨年度行った逆解析推定値と非常によく一致し、本手法の妥当性が証明された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

最初のN2O逆解析により既に全球N2O放出量変動の推定を行うことができた。加えて新たにマルチエミッション計算法を開発し、おおまかなフラックス推定とより現実的なフラックス先験値の導出方法を考案した。次年度は高解像度の全球N2O逆解析を行う予定である。

今後の研究の推進方策

我々のモデルによる地表への成層圏影響の計算パフォーマンスに関しては、まだ十分な検証が得られていない。それは逆解析によりN2Oフラックスの季節変動を十分な精度で推定する上でクリティカルな要素となる。これについてはCFCsの逆解析を用いて検証を行い、モデルにおいて成層圏影響の十分な再現性が得られない場合はそれらを不確定性として考慮し、逆解析に反映させる予定である。

次年度の研究費の使用計画

最終結果の解析のためにワークステーションを購入予定である。
(Dell Precision T7600 ~99万円)

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2012

すべて 学会発表 (6件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] マルチエミッション計算の全球N2Oフラックス推定への応用2012

    • 著者名/発表者名
      石島健太郎
    • 学会等名
      第18回 大気化学討論会
    • 発表場所
      福岡市
    • 年月日
      20121106-20121108
  • [学会発表] マルチエミッション計算を用いたN2Oフラックス先験値の最適化2012

    • 著者名/発表者名
      石島健太郎
    • 学会等名
      2012年 気象学会秋季大会
    • 発表場所
      札幌市
    • 年月日
      20121003-20121005
  • [学会発表] 大気中一酸化二窒素の全球モデリング2012

    • 著者名/発表者名
      石島健太郎
    • 学会等名
      2012年 日本地球化学会年会
    • 発表場所
      福岡市
    • 年月日
      20120911-20120913
    • 招待講演
  • [学会発表] Longterm simulation of tropospheric and stratospheric N2O isotopomers and its application to global budget estimations2012

    • 著者名/発表者名
      石島健太郎
    • 学会等名
      The Sixth International Symposium on Isotopomers (ISI-2012)
    • 発表場所
      米国、ワシントン市
    • 年月日
      20120618-20120622
  • [学会発表] インバースモデリングによる地域別N2Oフラックス季節変動の推定2012

    • 著者名/発表者名
      石島健太郎
    • 学会等名
      日本気象学会 2012年度春季大会
    • 発表場所
      つくば市
    • 年月日
      20120526-20120529
  • [学会発表] Simulation of nitrous oxide in the troposphere and stratosphere2012

    • 著者名/発表者名
      石島健太郎
    • 学会等名
      IGAC/SPARC Global Chemistry-Climate Modeling and Evaluation Workshop
    • 発表場所
      スイス、ダボス
    • 年月日
      20120521-20120524

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公開日: 2014-07-24  

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