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2013 年度 実施状況報告書

大気化学輸送モデルを用いたトップダウン手法による一酸化二窒素の全球収支の解析

研究課題

研究課題/領域番号 23710034
研究機関独立行政法人海洋研究開発機構

研究代表者

石島 健太郎  独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境変動領域, 研究員 (90399494)

キーワード一酸化二窒素 / モデル / トップダウン / 全球収支
研究概要

大気中の一酸化二窒素(N2O)は温室効果気体であるとともに、今世紀最大のオゾン層破壊物質であると考えられており、地球環境にとって極めて重要であるため、N2Oの全球収支をできる限り正確に把握することは今後の削減施策にとって欠かせない取り組みである。
TransCom-N2OなるN2O全球モデル国際相互比較プロジェクトが立ち上げられ、我々のモデルについてもN2Oの前進計算および逆解析結果を提供し、その結果、現段階において最も優れたN2O再現能を持つモデルであることが明らかとなった。これらについてはH25年度に2本の論文として出版された。
一方で、逆解析により地域・月毎のN2O放出量を推定するわけであるが、その際に最も重要な要素はやはり用いる観測データである。基本的には観測データが全球的にまたは時空間的にどれくらい密にカバーしているかという点が重要である。代表者はこれまで東北大学の観測データの管理を担ってきていたが、このN2O逆解析による放出量推定精度を向上させるために、それらの観測データの精緻化にも取り組んだ。中でも太平洋における船舶による大気中N2O観測データセットは海外の研究者へも積極的に提供しており、それらの成果は2本の論文として出版された。その中で今後自分が行う逆解析において、スピンアップ計算の重要性や、日内変動の考慮など様々な問題点が見出されたため、今後の自分の計算においてはそれらを反映させより高精度化することが可能であると期待される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

第一次の前進計算・逆解析を行い、それらを海外の他のモデル計算結果と比較することで、我々のモデルの性能が非常に高いこと、またその観点からみた世界的位置付けがよく把握できた。
観測データの整備をほぼ終え、より高精度の逆解析の準備が整った。

今後の研究の推進方策

以上より、本研究の継続により、恵まれたモデルと観測データに裏づけされる非常に価値のあるN2O放出量推定結果が得られるものと考えられる。
H26年度は最新のN2O放出源として非常に重要な東南・南アジアのデータも取り込んで、高解像度の逆解析を実施する予定である。いうまでもなく、これまでで最も貴重な結果が得られることが期待される。

次年度の研究費の使用計画

米国研究者と共同研究を進めている際に、観測データの標準スケールの補正方法や、逆計算のためのパルス計算時に用いる地表N2O放出量先験値の設定方法に関して新たな問題およびその改善方法等が見出されたため、それらを自分の研究にも反映させるために実際のN2O逆計算の実施を遅らせた。それにともない、学会発表やノートPC購入等も次年度に持ち越すこととなった。
学会発表2回およびそれに用いるノートPCの購入、そして論文投稿への使用を予定している。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] TransCom N2O model inter-comparison - Part 1: Assessing the influence of transport and surface fluxes on tropospheric N2O variability2014

    • 著者名/発表者名
      R. L. Thompson, P. K. Patra, K. Ishijima, E. Saikawa, M. Corazza, U. Karstens, C. Wilson, P. Bergamaschi, E. Dlugokencky, C. Sweeney, R. G. Prinn, R. F. Weiss, S. O’Doherty, P. J. Fraser, L. P. Steele, P. B. Krummel, M. Saunois, M. Chipperfield, and P. Bousquet
    • 雑誌名

      Atmos. Chem. Phys.

      巻: 14 ページ: 4349-4368

    • DOI

      doi:10.5194/acp-14-4349-2014

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] TransCom N2O model inter-comparison Part II: Atmospheric inversion estimates of N2O emissions2014

    • 著者名/発表者名
      Thompson, R. L., Ishijima, K., Saikawa, E., Corazza, M., Karstens, U., Patra, P. K., Bergamaschi, P., Chevallier, F., Dlugokencky, E., Prinn, R. G., Weiss, R. F., O'Doherty, S., Fraser, P. J., Steele, L. P., Krummel, P. B., Vermeulen, A., Tohjima, Y., Jordan, A., Haszpra, L., Steinbacher, M., Van der Laan, S. 他
    • 雑誌名

      Atmos. Chem. Phys. Discuss.

      巻: 14 ページ: 5271-5321

    • DOI

      doi:10.5194/acpd-14-5271-2014

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Nitrous oxide emissions 1999 to 2009 from a global atmospheric inversion2014

    • 著者名/発表者名
      R. L. Thompson, F. Chevallier, A. M. Crotwell, G. Dutton, R. L. Langenfelds, R. G. Prinn, R. F. Weiss, Y. Tohjima, T. Nakazawa, P. B. Krummel, L. P. Steele, P. Fraser, S. O'Doherty, K. Ishijima, and S. Aoki
    • 雑誌名

      Atmos. Chem. Phys.

      巻: 14 ページ: 1801-1817

    • DOI

      doi:10.5194/acp-14-1801-2014

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Global and regional emissions estimates for N2O2013

    • 著者名/発表者名
      E. Saikawa, R. G. Prinn, E. Dlugokencky, K. Ishijima, G. S. Dutton, B. D. Hall, R. Langenfelds, Y. Tohjima, T. Machida, M. Manizza, M. Rigby, S. O’Doherty, P. K. Patra, C. M. Harth, R. F. Weiss, P. B. Krummel, M. van der Schoot, P. J. Fraser, L. P. Steele, S. Aoki, T. Nakazawa, and J. W. Elkins
    • 雑誌名

      Atmos. Chem. Phys. Discuss.

      巻: 13 ページ: 19471-19525

    • DOI

      doi:10.5194/acpd-13-19471-2013

    • 査読あり
  • [学会発表] 大気中一酸化二窒素同位体の全球モデリング

    • 著者名/発表者名
      石島健太郎
    • 学会等名
      2013年度日本地球化学会年会
    • 発表場所
      筑波大学、茨城県

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公開日: 2015-05-28  

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