大気中一酸化二窒素(N2O)の計算を行うために、大気大循環モデルに成層圏でのN2O とオゾンの光化学反応を組み込んだ大気化学輸送モデルを開発した。本モデルは大気N2Oモデル相互比較実験(TransCom-N2O)において他のモデルと比べて優れた性能を示し、逆計算においても高い信頼性が有することが予想された。逆計算による地域毎のN2O放出量変動の推定の結果、陸域では概ね先験値と異なる変動傾向を示し、春の農業における施肥や融雪が原因となっている可能性や、更なる観測データの拡充による逆計算精度向上の必要性が示唆された。また観測データの整備を行い、モデル計算以外でのN2O逆計算研究への貢献も行った。
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