研究課題
化学物質に対する最も基本的な生体防御機構は異物代謝系である。一方、これら異物代謝系の動物種差が、各動物の化学物質に対する感受性に強く寄与することが知られている。しかし、これら異物代謝系の動物種差に関する知見は、一部の実験動物を除くとほとんどの生物種で十分に解明されていない。そこで本研究では、第II相抱合反応に注目し、Pyreneを用い新たに開発した抱合体スクリーニング手法を用いることで各動物種の異物代謝系のCharacterizationを行った。急激に環境汚染が進行するにも関わらず、希少野生動物が生息するアフリカで採取したサンプルを含む、11種の哺乳類の尿を用いたスクリーニングでは、生物種により多様な代謝パターンがあることが明らかになった。中でも、現在まで硫酸抱合活性が低いと考えられてきたブタで硫酸抱合化代謝物が検出された。本事象を検証するため、ブタの肝サイトソル画分を用いて、カイネティックス分解析を行った結果、ブタの硫酸抱合転移酵素(SULT)のVmaxは比較対象として用いたラットに比べ低かったが、酵素効率を示すVmax/Kmはラットよりも高いことが明らかになった。近年ますます実験動物化が進むブタについて、本研究は薬物代謝の特徴を明らかにすることが出来た。一方、アフリカで行ったフィールド調査では、両生類、哺乳類、鳥類の尿及び臓器を採取した。これらの試料について、重金属類や農薬類を中心に化学分析を行った結果、一部の地域からきわめて高濃度の化学物質が検出され、特に鳥類において他の生物種に比べ高い濃度で化学物質を蓄積している傾向が観察された。しかし、種々の鳥類においてゲノム情報は極めて乏しく、蓄積濃度と異物代謝系との関係を解析する事は未だに困難であった。今後、次世代シーケンサーによる解析を加えることにより、より詳細な生態リスク評価を行うことが可能であると考えられた。
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