研究課題
本研究は、外洋域の影響を強く受ける開放的な陸棚域(世界のほとんどの沿岸域が該当)において、様々な環境変化に対する生態系・物質循環の応答機構を明らかにし、その応答予測につなげることを目的とする。具体的には、瀬戸内海を対象海域とし、現実に則した生態系・物質循環を再現可能な数値モデルの開発と現場観測を組み合わせることにより、外洋擾乱(外洋水の突発的進入現象等)・地球温暖化などに起因する気象擾乱(突発的な集中豪雨や長期間の梅雨、勢力が極めて強い台風等)、環境規制などに対する生態系影響評価を行う。この知見は、世界の多くの沿岸域に応用することができ、気候変動や人為的な環境変化に対する沿岸生態系の応答予測につながる。本年度の主な研究実績は以下のとおりである。これまでに開発してきた生態系・物質循環モデルを用いて、モデル中の各種生物の振る舞いが様々に変化したときに、生態系・物質循環の動態にどのような影響を及ぼすかについて感度実験を行うことにより調べた。その結果、動物プランクトンの死亡特性が生態系全体に及ぼす影響が大きいことがわかった。特に、カイアシ類などメソ動物プランクトンの死亡速度の変化が、栄養塩濃度・植物プランクトン現存量・動物プランクトン現存量に及ぼす影響が大きいことが明らかとなった。また、これら生態系・物質循環動態への影響力が大きい生理パラメータについて、応用数学的な手法である遺伝的アルゴリズムを用いたパラメータ最適値推定を推進した。
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http://www.ehime-u.ac.jp/~cmes/engan/framepage1.htm