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2011 年度 実施状況報告書

線維芽細胞を用いたメチル水銀の毒性リスク評価

研究課題

研究課題/領域番号 23710044
研究機関鳥取大学

研究代表者

寳來 佐和子  鳥取大学, 地域学部, 准教授 (60512689)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワード水銀 / 線維芽細胞 / リスク評価 / 野生動物 / 初代肝細胞
研究概要

鯨類などの野生高等動物は、化学汚染物質を高蓄積している一方で、実験動物よりも毒性に脆弱である。さらに近年メチル水銀暴露によるヒトを対象とした疫学調査や実験動物を用いた研究から、繁殖や胎児の発育や神経発達への影響が懸念されている。そのため、生態系保全や生物種存続のためにも海棲哺乳類を含む野生動物種の水銀毒性評価は重要である。しかし、野生動物種を用いた水銀毒性のin vivo研究は困難で、比較生物学的な毒性影響評価に関する研究例は現在のところ皆無である。そこで本研究は、海棲哺乳類を含む野生動物種の水銀毒性に対するリスク評価法の確立を目指し、初代培養細胞が評価ツールとして有効かどうかを検証することを目的としている。ジャワマングースとラットの初代培養肝細胞へのMTTアッセイ法を用いたメチル水銀毒性の比較試験において、予想に反し、ジャワマングースにおいてラットよりも50%致死濃度(IC50)は、有意に低いことが明らかとなった。このことはつまり、メチル水銀に対する細胞毒性に関して、ラットよりもジャワマングースの方が脆弱であることが示唆された。また、ジャワマングース肝臓中総水銀濃度と同一個体由来の初代肝細胞MTTアッセイの結果(IC50)との関係を解析したところ、亜セレン酸毒性に関して、肝臓中総水銀濃度が高い個体ほど、IC50が低いことが明らかとなった。このことは、肝臓中総水銀濃度が高いほど、セレンに対する毒性が強まる可能性を示している。これまで、セレンは水銀毒性を軽減する物質であることが多く報告されてきたが、本研究結果により、肝臓中総水銀レベルが高い個体においては、より高いセレンの暴露が、健康影響を引き起こす可能性も論じる必要性があることを明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

申請時と採択時の所属が変わり、新たな環境でのセットアップに時間がかかったことと、共同研究者である琉球大学農学部小倉剛先生の急逝が研究の遅れに繋がったと考える。

今後の研究の推進方策

今後の研究の推進方策として、研究計画の変更が余儀なくされる。これまでジャワマングースの検体を供給してくれた琉球大学との協力体制の再構築が必要となる。メチル水銀の細胞による取り込み量を調査した結果、水銀高蓄積野生動物であるジャワマングースの細胞内分子応答研究の前段階として、他地域に生息するジャワマングースの水銀蓄積特性を明らかにする研究に着手する。

次年度の研究費の使用計画

水銀分析装置(120万円)、消耗品(60万円)、交通費・宿泊費(40万円)、図書費(10万円)、その他(20万円)に使用予定。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Arsenic and Mn levels in Isaza (Gymnogobius isaza) during mass mortality event in Lake Biwa, Japan.2011

    • 著者名/発表者名
      Sawako Horai Hirata
    • 雑誌名

      Environmental Pollution

      巻: 159 ページ: 2789-2796

    • DOI

      10.1016/j.envpol.2011.05.007

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2013-07-10  

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