研究課題
本研究の目的は、モラルモチベーションに基づく人々の自発的行動を政策分析可能な形でモデル化すること、加えて、環境モラルに基づく自発的行動を促進するような政策や価格インセンティブ政策の有効性を評価することである。本研究では、主に以下のような成果を得た。第一に、包括的評価関数を用いて、カント道徳的なモラルモチベーションの存在を考慮したモデルを構築し、それを用いて分析を行った。結果から、人々がこのようなタイプのモラルモチベーションを持つ場合、いわゆる「共有地の悲劇」的な問題は標準的な経済人モデルを想定した場合よりも改善し、より効率的な資源配分が可能であることが示された。第二に、具体的な政策設計について考えるために、家計の環境モラルに基づく自発的行動を促進するための情報提示手法について、実験等の手段を用いて考察した。実験においては、独立した小規模グリッドモデルを想定し、①金銭的動機からの行動を促すような情報、②環境モラルによる自発的行動を促すような情報、③感情に訴えかけるような情報、を提示した際の、家計の節電行動について評価した。特に②においては、単純に自らの行動が環境に与える負荷を提示したケースと、自らの行動ルールを他者も採用した場合の状況を提示したケースの二種類を用意した。結果によれば、①や③と比べると程度はやや低いものの、②の情報提示によって家計の節電行動が生じた。加えて、カント道徳的なモラルモチベーションと親和的な情報提示手法の有効性(より一層の節電)が確認できた。これらの分析結果は、モラルモチベーションに基づく自発的環境配慮行動を促進するような政策を具体的に考える際の有用な知見になると考えられる。他の成果としては、価格インセンティブ政策の副次的影響を評価するための新指標に関する論文、また環境政策分析を行うにあたっての方法論について考察した論文を出版した。
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Proceedings of the 38th International Conference of the International Association for Energy Economics
巻: - ページ: -
平成27年電気学会全国大会講演論文集
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科学
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