研究課題/領域番号 |
23710055
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
柴原 尚希 名古屋大学, 環境学研究科, 助教 (80509191)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
キーワード | 環境分析 / 地球温暖化ガス排出削減 / ライフサイクルアセスメント / 環境ラベル / カーボンフットプリント / ツーリズム / 交通システム / 環境負荷原単位 |
研究概要 |
本研究課題では、1)各種交通システムについて条件別にCO2排出量原単位の整備、2)事業者向けの詳細な情報提示方法「交通エコレポート」の提案、3)消費者向けの分かりやすい情報提示方法「交通カーボンフットプリント(CFP)」の提案、を目的としている。 平成23年度は、まず地域特性や乗客数、運行状況などに応じて鉄道・バス・航空機・船舶のCO2排出量原単位を整備している。 鉄道については、乗車人数や使用する燃料が路線ごとで異なるため、各路線での人kmあたりの原単位を算出し、都市電化鉄道・地下鉄・地方電化鉄道・地方非電化鉄道の4分類で集計している。バスについては、自動車の燃費性能に関するデータを利用し、乗車定員区分別に車両走行kmあたりのCO2排出量を求めている。航空機については、離着陸時と巡航時に分け燃料消費量を算出しCO2排出量推計式を求めることで、機種・座席利用率とともに飛行距離を考慮できる原単位として整備している。船舶については、事業者へのヒアリングから得られた運航時の燃料消費量を運航距離・乗客数で除して原単位としている。 以上の原単位を、交通を利用したサービスの典型例であるパッケージツアーに適用し、国内ツアー・海外ツアーをケーススタディとして、簡易にCFPが算出できる方法論を提案している。 国内ツアーについては、移動起源の排出がツアー全体の約6~8割を占め、特に航空機利用の場合大きくなることが分かった。また、移動手段変更により、パッケージツアーからのCO2排出量を大きく削減できる可能性を明らかにしている。加えて、CFP表示方法を、消費者に誤った解釈をさせないための留意点とともに提案している。 海外ツアーについては、同じ旅程であっても、環境に配慮した交通手段・ホテル・レストランを選択することで、観光内容を変更せずともCO2排出量が少ないツアーが提案できる可能性を示している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上述した研究目的3点のうち、"1)各種交通システムについて条件別にCO2排出量原単位の整備"については平成23年度中に実施することができた。また、"2)事業者向けの詳細な情報提示方法「交通エコレポート」の提案"および"3)消費者向けの分かりやすい情報提示方法「交通カーボンフットプリント(CFP)」の提案"についてもすでに検討をはじめており、日本LCA学会ニューツーリズム研究会への参加や国内学会へ成果発表を通じて改善意見や情報を収集している。
|
今後の研究の推進方策 |
日本LCA学会ニューツーリズム研究会が取りまとめる予定の中間報告書への貢献や講演会への参加を通じて、平成23年度に構築した方法論を、事業者向けの詳細な情報提示方法「交通エコレポート」や消費者向けの分かりやすい情報提示方法「交通カーボンフットプリント」へと展開していく。また、研究成果の学術雑誌や国際会議への発表を予定している。
|
次年度の研究費の使用計画 |
統計資料等のデータ類の購入と、解析補助者への謝金支出を想定している。また、国内の研究会・学会への参加や、分析結果の学術雑誌や国際会議への発表を予定している。それに伴い旅費・投稿料、英文翻訳・校正に関する費用が必要となる。
|