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2012 年度 実施状況報告書

廃プラスチックの広域化処理における政策決定モデルの構築に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 23710061
研究機関静岡県立大学

研究代表者

戸敷 浩介  静岡県立大学, 環境科学研究所, 助教 (00542424)

キーワード一般廃棄物 / 広域化 / 地理情報システム / エネルギー回収 / 温室効果ガス / 費用便益分析
研究概要

本年は、前年度までに作成したGISデータベースを活用し、既存の大規模焼却施設を中心とする広域ブロックのシナリオを設定し、施設の稼働率やエネルギー回収量、温室効果ガス排出量、経済性等の総合評価指標について、シナリオ分析を行った。特に、静岡市を中心とする中部ブロックについては、廃プラスチック類の処理パターンにより、シナリオを複数設定し、総合評価指標への影響を分析し、またプラスチック分別を含む市町村ごとのごみ分別政策とごみ処理広域化との整合性について議論した。
例えば静岡県中部の静岡市を中心とする広域ブロックの形成は、静岡市の隣に位置する焼津市・藤枝市の焼却施設の老朽化等を考慮すると、少なくとも静岡市、藤枝市、焼津市、牧之原市、島田市、御前崎市の6市と、吉田町、川根本町の2町に亘って広域化する必要がある。焼却施設は、沼上清掃工場(1995年稼働開始・処理能力日量600トン)、新西ヶ谷清掃工場(2010年稼働開始・処理能力日量500トン)、吉田町牧之原市清掃センター(1999年稼働開始・処理能力日量101トン)、田代環境プラザ(2006年稼働開始・処理能力日量148トン)、牧之原市御前崎市環境保全センター(1992年稼働開始・処理能力日量141トン)の5工場を使用する。ただし、ごみ分別政策の違いや市民の地元意識などを考慮すれば、広域ブロックが大規模になるほど実現性は低いと言わざるを得ない。また、上記5工場の内、牧之原市御前崎市環境保全センターは比較的古く、一方で焼津市・藤枝市では新たな焼却施設の建設計画が昨年度から検討され始めている。これらのことを考慮し、広域ブロックの形成は一般廃棄物処理政策を全て統合した形ではなく、可燃ごみ処理における緩やかな協力体制の構築(例えば、焼却施設の一時停止時における相互協力など)から始める必要があると考察している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の主な目的は、1)静岡県を事例としたごみ処理区域の広域化によるエネルギーや環境等への影響についての、GISデータベースを用いた定量的な評価、2)構築したGISデータベースを用いて、ごみ処理広域化の下での廃プラスチックの分別・処理のあり方を明らかにすること、3)本研究の成果物として、ごみ処理広域化の下での焼却処理、廃プラスチックの分別・処理方法等に関するエネルギー・環境影響等の定量的評価手法の確立、の3つを挙げている。
この内、平成24年度までに、GISデータベースの構築とこれを用いた具体的な定量評価による影響評価手法はほぼ確立された。また、広域化における経済性の評価については、特に静岡県中部の広域ブロックにおいて具体例を用いて検討を進めている段階である。静岡県におけるごみ処理広域ブロックのシナリオ設定については、静岡市を中心とする県中部を中心に、5年後、10年後、15年後のように段階的な広域ブロックの形成シナリオを検討しつつ、より柔軟に対応するための自治体間の協力体制のあり方について考察を進めている。特に、ブラスチックの分別や処理方法を含む一般廃棄物処理政策や、ゴミ捨ての慣習の違いなど、地域性や市民意識については、ごみ処理広域化を検討する上で非常に重要であることが分かってきている。そこで本研究では、自治体間の連携や協力などに有用な情報を提供する評価手法の確立という視点を新たに加えて進めている。

今後の研究の推進方策

平成25年度は、前年度までの成果を基に、まず静岡県におけるごみ処理広域化のシナリオ分析結果を整理し、定量的な観点からより合理的な一般廃棄物処理のあり方について明らかにする。特に、既存の焼却施設の規模や稼働年数、プラスチックの分別・処理方法、地域性や市町村のまとまり、新規焼却施設の建設など、様々な面を考慮した複数のシナリオを作成し、政策決定モデルとしての機能を付加する。
また、本研究の成果を静岡県や県内市町村に還元するとともに、県内の関係当局に対するヒアリング調査を行い、ごみ処理広域化における問題点等を明らかにし、本研究の政策決定モデルの活用方法等についても検討する。
本研究の成果については、この他に論文投稿や学会発表を通じて公表し、積極的に社会に還元するように努める。

次年度の研究費の使用計画

報告者は24年度中に2か月間、所属機関の制度を利用して海外研修を行ったが、その際に滞在先で本研究に関連する研究発表を行った。そのため、本研究の成果発表にかかる旅費等が当初の想定より少なくなったため、約5万円を25年度に繰り越すことになった。
25年度は、上記の研究計画を実施するため、特に静岡県内におけるヒアリング調査・成果発表のための旅費について、本研究費を使用する。また、本研究で使用するArcGISの保守契約や最新の空間地図データ等、GISデータベースの維持・改善に本研究費を使用する。更に、関連図書やコピー用紙、メディア等の購入について本研究費を使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] The effect of introducing energy recovery to the municipal solid waste management system with consideration of energy balance and environmental impact in Ulaanbaatar, Mongolia

    • 著者名/発表者名
      Toshiki K., Yu J. S., Seronna R. K., Pham Q. G., Kunikane S.
    • 学会等名
      International Conference on Advanced in Mechanical Engineering
    • 発表場所
      Ulaanbaatar, Mongolia

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公開日: 2014-07-24  

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