2012年度は、企業の環境問題への自主的取り組みに関するモデル分析を行った。この研究は、申請時からの研究計画に沿ったものであり、前年度の環境問題と企業活動に関する実証分析の成果を踏まえて行われた。 この研究では、企業の環境問題への取り組みとして、環境情報の開示を考え、環境情報の開示が自主的な取り組みにより行われるべきなのか、政府により義務化されるべきなのかという問題を分析している。分析の結果、環境情報開示が自主的開示である状況の方が、企業が環境負荷削減投資を積極的に行う状況が存在すること、さらに、環境情報の開示が完全に義務化される場合、企業の期待利潤が減少する状況などを明らかにした。 その研究成果について、シンガポールで開催された国際学会(East Asian Economic Association)で報告を行った。学会でのコメントを踏まえ、修正を行った論文は、ワークショップ等で報告し改善された。また、環境問題への取り組みに関する分析として、地球温暖化問題に対する京都議定書のもたらす削減効果について、6種類の温室効果ガス全てに関する実証分析を行った。この研究成果は、査読付きジャーナル「Environmental Economics and Policy Studies」に掲載されることが決定している。
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