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2011 年度 実施状況報告書

放射線耐性細胞ではなぜオートファジーが誘導されにくいのか?

研究課題

研究課題/領域番号 23710066
研究機関東北大学

研究代表者

桑原 義和  東北大学, 加齢医学研究所, 助教 (00392225)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワード放射線耐性 / ROS / ミトコンドリア
研究概要

2Gy/日のX線を30日以上照射し続けても増殖する臨床的放射線耐性細胞とその親株を用いて、X線で誘発される細胞死について解析した。親株であるHepG2とそのCRR 細胞株であるHepG2-8960-Rに10 GyのX線を1回照射し、経日的に倒立顕微鏡下に形態変化を観察した。HepG2では、照射3日目で死細胞はほとんど観察されなかったが分裂像の増加が見られた。引き続き培養液中に浮遊してくる死細胞の顕著な増加が見られた。さらに照射後7日目になると、接着している生細胞に、多核に特徴づけられるmitotic catastropheを示す細胞が増加した。HepG2-8960-RではHepG2と比べて、照射後3日目に分裂像の増加はみられず、さらに照射後5日目においても死細胞の顕著な増加は見られなかった。しかし、照射後7日目になるとHepG2と同様にmitotic catastropheを誘発した多核の細胞が生じたが、その誘発頻度はHepG2と比べて低かった。また、オートファジーの誘導は親株では誘発されるものの、放射線耐性細胞では誘発されなかった。10GyのX線照射後、経日的に細胞内のROSを検出すると親株ではROSの産生量の増加が見られたが、放射線耐性細胞ではそのような傾向は見られなかった。そこで、細胞内ROSの産生場所であるミトコンドリアを解析することにした。細胞当たりのミトコンドリアDNA量を解析すると、予想に反して放射線耐性細胞及びその親株で特に差は見られなかった。今後は、ミトコンドリア電子伝達系の阻害剤を用いた解析を行う予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成23年度科学研究費助成事業交付申請書に記載した、「CRR細胞に交叉耐性を示す抗がん剤のスクリーニング」、「H2O2感受性の定量化」、「CRR細胞でのX線照射で生じたROSのイメージング」、「H2O2耐性細胞の樹立」は、計画通り終了したため。

今後の研究の推進方策

平成23年度は、研究実施計画通り遂行できた。平成24年度においても、研究実施計画通り遂行する予定である。

次年度の研究費の使用計画

計画の変更を伴わない。次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成23年度請求額と合わせ、次年度に計画している研究の遂行に使用する予定である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2012 2011 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Adenovirus-mediated expression of the HO-1 protein within MSCs decreased cytotoxicity and inhibited apoptosis induced by oxidative stresses.2012

    • 著者名/発表者名
      Hamedi-Asl P, Halabian R, Bahmani P, Mohammadipour M, Mohammadzadeh M, Roushandeh AM, Jahanian-Najafabadi A, Kuwahara Y, Roudkenar MH.
    • 雑誌名

      Cell Stress Chaperones.

      巻: 17 ページ: 181-190

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Enhancement of autophagy is a potential modality for tumors refractory to radiotherapy.2011

    • 著者名/発表者名
      Kuwahara Y, Oikawa T, Ochiai Y, Roudkenar MH, Fukumoto M, Shimura T, Ohtake Y, Ohkubo Y, Mori S, Uchiyama Y, Fukumoto M.
    • 雑誌名

      Cell Death Dis.

      巻: 2 ページ: e177

    • DOI

      10.1038/cddis.2011.56.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Neutrophil gelatinase-associated lipocalin: a new antioxidant that exerts its cytoprotective effect independent on Heme Oxygenase-1.2011

    • 著者名/発表者名
      Roudkenar MH, Halabian R, Bahmani P, Roushandeh AM, Kuwahara Y, Fukumoto M.
    • 雑誌名

      Free Radic Res.

      巻: 45 ページ: 810-819

    • 査読あり
  • [学会発表] AKT経路を標的としたがん幹細胞の放射線耐性の克服2011

    • 著者名/発表者名
      志村勉、落合泰史、野間直十、及川利幸、桑原義和、福本学
    • 学会等名
      日本放射線影響学会第54回大会
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      2011年11月17日~19日
  • [学会発表] 臨床的放射線耐性細胞はなぜドセタキセルに耐性を示すのか?2011

    • 著者名/発表者名
      桑原義和、及川利幸、福本基、志村勉、福本学
    • 学会等名
      日本放射線影響学会第54回大会
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      2011年11月17日~19日
  • [学会発表] X線抵抗性細胞の重粒子線感受性について2011

    • 著者名/発表者名
      高橋昭久、吉田由香里、馬洪玉、桑原義和、福本学、金井達明、中野隆史
    • 学会等名
      日本放射線影響学会第54回大会
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      2011年11月17日~19日
  • [備考]

    • URL

      http://www2.idac.tohoku.ac.jp/dep/path/

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公開日: 2013-07-10  

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