研究課題/領域番号 |
23710071
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
飯塚 大輔 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助教 (00455388)
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キーワード | 放射線誘発乳がん / mammosphere / 循環miRNA |
研究概要 |
放射線被ばくにより有意に乳がんリスクが高まることが原爆被爆者の疫学調査により明らかにされている。しかしながら放射線被ばくによる乳がん発生メカニズムについては大部分が明らかになっていない。申請者はこれまでラットを用いた放射線誘発乳がんにおいて有意に変化しているマイクロRNA(miRNA)を見出している。本研究では放射線とmiRNA発現変動の意味を乳がん細胞・がん幹細胞・血清といったレベルで明らかにしていくことを目的としている。 平成24年度は平成23年度に確立したmammopshere培養法で培養した非接着の球状細胞集団ならびに放射線被ばくし乳がんが生じたラットから得られた血清からmiRNAを抽出した。20種類程度のmiRNAの発現量を定量PCRにて検討した結果、miR-22がmammosphereに含まれる細胞に多く発現していることが明らかとなった。一方でラット血清に含まれるmiRNA発現量の検討を行ったところ、miR-194が放射線被ばくして乳がんができたラット血清に有意に多く含まれる結果が得られたが、検討数が少ないため、今後さらなる検討が必要である。 平成23年度から引き続き行っている放射線誘発乳がんで発現変動が見られたmiR-192ならびにmiR-194の細胞増殖等へ与える効果の検討をおこなったところ、MCF-7細胞に加え、T47D細胞でmiR-194を抑制することにより細胞増殖が阻害された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
mammosphere培養法で得られる細胞ならびに放射線被ばくし乳がんが発生したラットから得られた血清におけるmiRNA発現の検討はほぼ予定通り進んでおり、成果が得れている。mammosphere培養法で得られる細胞の機能解析は今のところできていないので、来年度精力的に行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
放射線誘発乳がんに特徴的なmiRNAや本年度見出したmammosphereで得られる細胞特異的なmiRNAの乳がん細胞株ならびにがん幹細胞での機能解析を行う。miRNA導入に関して,これまでも使用してきている種類のmimicならびにinhibitorを細胞に導入し,形態学的・分子生物学的な解析を行う。同様のmiRNA導入をした後に放射線照射した細胞の解析も併せて行う。また,放射線被ばくして乳がんを発生したラットの血清の解析数を増やす予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
前述の研究を遂行するために、細胞培養関連試薬、miRNA解析関連試薬等が必要になるため購入予定である。また、得られた成果によっては当初予定していなかった試薬等が必要になることが予想されるため、柔軟に対応する予定である。
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