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2011 年度 実施状況報告書

放射線橋かけ技術を利用した新規ポリマーゲル線量計の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23710073
研究機関独立行政法人日本原子力研究開発機構

研究代表者

廣木 章博  独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究副主幹 (10370462)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード多糖類ゲル / ヒドロキシプロピルセルロース / 放射線橋かけ技術 / 電子線 / γ線 / ポリマーゲル線量計 / 白濁度合い
研究概要

多糖類であるヒドロキシプロピルセルロース(HPC)と超純水を混練して調製した20 wt%のペースト状試料を冷却プレスにより成膜し、脱気密封包装後、電子線照射により放射線橋かけし、ゲル線量計の母材となる透明なHPCゲル膜を得た。ゲル膜を水洗浄・乾燥処理し、次いでモノマーを含む水溶液(放射線検出液)に浸漬した。溶液を吸収して膨潤したゲル膜を脱気密封包装し、ポリマーゲル線量計とした。作製したポリマーゲル線量計にコバルト60線源からのγ線を所定線量(最大30 Gy)照射し、紫外可視分光光度計により吸光度(ゲルの白濁度合い)を評価した。 放射線検出液の吸収量(ゲルの膨潤度)は、電子線の線量増加に伴う橋かけ度合い(ゲル分率)の増加により低下した。膨潤度とゲル分率の相関から10 kGyの電子線照射で得たHPCゲル膜を選択し、ゲル線量計を作製した。メタクリル酸やアクリルアミドなど20種類のモノマーを用いてγ線照射時(10 Gy)の白濁度合いを調べた結果、8種類のモノマーが放射線検出液として使用できることが分かった。中でも、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)とポリエチレングリコール#400ジメタクリレート(9G)から成る5 wt%の放射線検出液を用いて作製したゲルは、2 Gyでもうっすらと白濁する高感度なポリマーゲル線量計となることが分かった。ゲルの吸光度は、線量増加に伴いほぼ直線的に増加し、10 Gyで約3に達した。直線の傾きは、HEMAと9Gの組成に依存し、9Gの比率が高いほど大きくなることが分かった。また、感度低下の要因となる酸素を低減するために、放射線検出液に脱酸素剤のテトラキスヒドロキシメチルフォスフォニウムクロライド(THPC)を添加した結果、大気中で作製したゲル線量計においても2 Gy程度の低線量で白濁化することが分かった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ポリマーゲル線量計の白濁化に及ぼす母材の種類の影響については、さらに検討の余地があるが、当初予定していたモノマーの種類、及び組成、さらに脱酸素剤の白濁化への影響を明らかし、ポリマーゲル線量計の高感度化の見通しを得ることができたことから、本研究は、おおむね順調に進展していると考えている。

今後の研究の推進方策

得られた結果を多糖類ゲル合成やモノマー溶液調製条件にフィードバックして、ポリマーゲル線量計としての放射線感受性、及び再現性の向上を図る。また、生成するポリマーの粒径や粘弾性の線量依存性を調べることで、ポリマー生成過程に及ぼす母材の影響を考察する。

次年度の研究費の使用計画

試薬(モノマー類)や測定用器具などの消耗品の購入をはじめ、ゲル線量計に関する国際学会で得られた成果を発表するための旅費などに使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] ヒドロキシプロピルセルロースを母材とするゲル線量計の開発

    • 著者名/発表者名
      山下真一,廣木章博,長澤尚胤,田口光正
    • 学会等名
      放射線化学会
    • 発表場所
      大阪大学 産業科学研究所
    • 年月日
      2011年9月29日

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公開日: 2013-07-10  

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