研究課題/領域番号 |
23710083
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研究機関 | 国立医薬品食品衛生研究所 |
研究代表者 |
久保田 領志 国立医薬品食品衛生研究所, 生活衛生化学部, 主任研究官 (80392299)
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キーワード | フラーレン / 酸化物 / 一斉分析法 / LC-MS/MS |
研究概要 |
昨年度の研究実績において測定対象としたC60(OH)2に加え、同様に生体内でC60の代謝物として存在する可能性がある酸化フラーレン(C60O、C60O2、及びC60O3)について、高純度試薬を合成・精製し、C60、C70、C60(OH)2との一斉分析法の検討を行った。検討には昨年度に開発したC60、C70、C60(OH)2の一斉分析法の条件を基に、LC-ESI-MS/MS法を用いた。トルエン/メタノール溶液の測定溶液をインフュージョン法でMSに導入し、スキャン分析でスペクトログラムを確認した結果、C60O、C60O2、C60O3の各化合物由来のシグナルが最も強い強度で確認された。このシグナルをモニターしながら、キャピラリ-電圧、コーン電圧等のMSの測定条件を最適化した。LCの分離条件については、昨年度に開発したC60、C70、C60(OH)2の一斉分析法の条件を基に検討した結果、C60、C70、C60(OH)2と同様に、分離カラムにF5C6系カラムを、移動相条件にトルエン/メタノールのアイソクラティック法を用いた条件で、ピーク形状、検出感度ともに良好な結果が得られたが、C60O、C60O2、及びC60O3の3物質のピークが近接していたため、移動相の流速を0.1mL/minとした結果、3物質のピークの分離は許容となり、この条件を採用することとした。この条件でC60、C70、C60(OH)2のピークは良好に分離できている。採用したLCおよびMS/MSの測定条件を用い、各化合物の定量下限値を算出した結果、2μg/L (C60O)~5μg/L (C60O2及びC60O3)となり、良好な定量下限値が得られることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画作成当初、測定対象としていなかった酸化フラーレンについても実施することとしたため、若干の遅れはあるが、in vitro系での影響評価試験と前処理法の開発についても併行しておこなっているため、概ね順調と考えている。in vitro系での毒性影響試験はすでに実施しているが、現在検証作業を行っている。また、in vitro系を想定した前処理法についても現在行っている。
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今後の研究の推進方策 |
水酸化フラーレンおよび酸化フラーレンについて、in vitro系での細胞毒性試験の追試、前処理操作の確認試験の実施後、in vitro系で薬物代謝によるフラーレン誘導体の生成の有無を確認する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度の残額193324円については、平成25年度購入予定の消耗品等の購入にあてる。
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