ファイトレメディエーション(植物活用汚染浄化法)は低環境負荷の浄化法として将来への利用が期待されており、土壌・水環境で試験が実施されている。当該浄化法の利用基盤となる汚染物質の蓄積・耐性メカニズムを解明すべく、植物体や個々の遺伝子を対象とした基礎研究が進められているが、分子レベルでその全体像は理解されていない。本研究では、近年急速に普及して来ている次世代シークエンサー(Roche社454FLX Titanium)を用い、ヒ素超蓄積植物であるモエジマシダのトランスクリプトームを網羅的に解析することにより当該植物のヒ素蓄積・耐性機構の全体像を分子レベルで評価する事を試みた。 次世代シークエンサー(Roche社454FLX Titanium)を用い、ヒ素超蓄積植物の転写産物の網羅的解析を行い研究基盤を作ると共に、これまで得られ本植物のヒや亜ヒ酸酸取込を担う輸送体遺伝子のホモログを探索することを目的とした。5-6羽の生長段階のシダを土壌栽培・水耕栽培し、ヒ酸暴露有無の条件下でインキュベートした後、羽片(葉)、根よりそれぞれtotalRNAを調製した。mRNAを調製しランダムプライム法によりライブラリーを調製された。調製したライブリーを増幅し、Roche社454FLX Titanium により解析され、263Mbのシークエンシングが行われた。アセンブル解析の結果10000以上のlarge contigが得られた。ブラスト等の解析を行い、ヒ素を液胞輸送、または細胞外へ排出する輸送体遺伝子の候補遺伝子の情報を得た。さらに、3'フラグメントライブラリ解析により、シダ暴露有無における羽片、根各部における全発現遺伝子の定量発現解析を行った。その結果いくつかの遺伝子にヒ素暴露による、大きな発現の差異を見出した。現在発現結果の網羅的解析と輸送体候補遺伝子の詳細な解析を行っている。
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