研究概要 |
近年、燃焼技術の向上に伴い、排出されるPMが微小化し、既存のPM除去装置では捕集しきれないサブミクロンオーダーのPMが増加している。そこで本研究では、付着力支配によりサブミクロンオーダーのPMを除去可能な流動層をPM除去装置に適用し、PMの粒径を考慮したPM捕集特性に関する理論的・実験的研究を行った。 実験では、内径80.7 mm、高さ400 mmのステンレス製円筒容器に、粒径0.3-0.5 mmの焼結アルミナ粒子を100 mm堆積した装置を用い、装置下部より空等速度0.3-0.5 m/sの空気と粒径0.029, 0.2, 0.5, 2.25, 8.95, 19.02μmのPMを連続的に180分間流入させて付着実験を行った。その結果、30 mg/m3 程度のPMを投入した場合は、既存のPM除去装置では捕集しきれない0.029-2.25μmのPMを100 %捕集し、非常に高い濃度である100 mg/m3 の場合においても、0.029-2.25μmのPMを90 %以上の確率で除去可能であることを示した。 数値解析では、はじめに気相および粒子層を連続体とみなし、Euler-Euler法を用いた固気二相流解析プログラムを構築した。本解析コードにCliftらの付着モデルを組み込み、PMの付着解析を行った結果、粒径0.029-2.25μmのPMについては実験結果と概ね一致したが、粒径8.95および19.02μmのPMについては付着量を低く見積もった。そこで、上記実験結果よりPMの付着挙動をモデル化し、プログラムに組み込むことにより、流動層式PM除去装置の付着解析を行った。その結果、解析結果は実験結果を良好に再現しており、本研究で構築した数値解析モデルの妥当性が示された。これは、次年度に行うPMの燃焼反応を考慮した連続再生式PM除去装置の解析モデルの礎となる。
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次年度の研究費の使用計画 |
今後の研究の推進方策に記述した、流動層式PM除去装置内におけるPM燃焼速度の測定実験では、流動層内に試験用標準資料(PMモデル物質)、酸素濃度を調整したガスおよび濃度を調整した水蒸気を、それぞれ濃度を変化させながら供給する。本実験において、試験用標準資料(50,000円)を購入予定である。また、酸素濃度の調整はコンプレッサーにより供給される空気に不活性ガスである窒素を混ぜて行うことから、窒素ガス(50,000円)を購入予定である。さらに、水蒸気の供給はJIS規格に基づき、アントワン式を適用したバブリング法により供給する。水蒸気供給バブリング装置の部品として、恒温水槽、フローメーター、捕集瓶2セット、供給用チューブ、リボンヒーター2つ、合計400,000円を購入予定である。 一方、数値解析では、流動層式PM除去装置において、PMの付着・燃焼を考慮した固気二相流解析を行う。本解析は、非常に複雑であり解析に時間がかかることから、本来は並列計算プログラムを構築して解析を行う必要があるが、予算の都合上PCワークステーション(300,000円)を購入し、解析を行う予定である。 また、当該年度の成果および次年度の成果を国内の学会にて3回発表する予定である。具体的には、2012年9月に仙台で開催される化学工学会第44回秋季大会、2012年12月に名古屋で開催される第50回燃焼シンポジウム、2013年3月に大阪で開催される化学工学会第78年会にて発表予定である。この旅費および参加費として、それぞれ、2泊3日; 75,000円、2泊3日; 65,000円、2泊3日; 60,000円、合計200,000円使用予定である。 以上が次年度の研究費(1,000,000円)の使用計画である。
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