研究課題/領域番号 |
23710095
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
尾上 幸造 宮崎大学, 工学部, 助教 (50435111)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 鉄鋼スラグ水和固化体 / 天然ポゾラン / 環境影響 / 力学特性 |
研究概要 |
本研究は,国内外で深刻化する「磯焼け」回復技術の一環として,鉄鋼スラグと天然ポゾランを活用しさらに海藻増殖性と鉄分供給能力を高めるべく多孔質とした固化体(POSSC:Porous-type Steel-making Slag Concrete)を開発し,その環境影響,力学特性ならびに自然界への鉄分供給能力について明らかにするとともに,POSSCの最適な材料設計システムを提案しようとするものである。天然ポゾランとして,南九州に広く分布するシラスおよび新燃岳火山灰を使用した。平成23年度の検討内容および得られた知見は以下の通りである。(1)配合条件・養生方法がPOSSCのアルカリ溶出性・力学特性に及ぼす影響:POSSCの空隙率を15%,25%,35%と変化させ,海水中におけるアルカリ溶出試験および圧縮強度試験を実施した。その結果,空隙率が高いほど海水pHの上昇量が大きく,圧縮強度は小さくなる傾向が認められた。また,海水へ浸漬前に気中曝露を施すことで,固化体表面の炭酸化によりアルカリ溶出性が一層抑制されると同時に,気中曝露なしの場合と同等以上の圧縮強度を得られることが明らかとなった。(2)天然ポゾランのPOSSCへの適用性:シラスおよび新燃岳火山灰をポゾラン材とするPOSSCを作製した。その結果,天然ポゾランを用いたPOSSCの製造は十分可能であり,天然ポゾランの混入はPOSSCのアルカリ溶出性の低減と長期的な強度増進に寄与することが明らかとなった。(3)ペースト部の意図的な沈降によるPOSSCの曲げ強度の改善:ペースト部の粘性や圧縮強度が異なるPOSSCを作製し,その曲げ強度について検討した。その結果,ペースト部の粘性が低いほど,また圧縮強度が高いほどPOSSCの曲げ強度は高くなることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定の内容について検討を実施し,十分な知見を得ることが出来たため。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は,POSSCの鉄分供給能力について明らかにするとともに,水槽実験による海藻増殖性についても検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
鉄分分析および水槽試験にかかる費用一式,成果発表のための旅費,その他の消耗品等に使用する予定である。
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