本研究においては、海流発電用水車の実用化を目指し、発電領域を拡大する水車システムの開発を行う。開発のキーファクターは、水車への逆テーパ翼採用と翼型断面形状を有するシュラウドでこの水車を囲うことにある。逆テーパ翼水車は、中心軸より離れた位置で大きな力を発生させることでトルクが増大し、また相対的にソリディティ増加することもあり、低周速比・低流速での効率が上昇すると考えられる。さらにその周りに翼型断面形状を有するシュラウドを設置することによって周流効果による増速のみではなく、翼による増速効果も利用し出力を増加させる発電効率向上・起動性能向上を目指す。これら予測される効果を数値解析的・実験的見地から調査した。 平成24年度は、1.水車特性計測試験 1.1水車特性(従来型水車と逆テーパ水車の双方で計測)1.2水車の発生トルク(現有のプロペラ単独試験器のトルク計で計測) 1.3水車の発生スラスト(現有のプロペラ単独試験器のスラスト計で計測) について計測を行った。 2.シュラウドの設計・製作 開発済みの設計ツールをシュラウドにも拡張し数値解析をおこなって設計した。シュラウドについては、平成24年度購入の三次元切削装置、ケミカルウッドとFRPを用いた方法で製作した。 3.シュラウド特性解析と計測 3.1シュラウド内流速分布の数値解析と回流水槽における測定(数値シミュレーションによる解析および三次元電磁流速センサーで計測)3.2シュラウドが発生する流体力の解析を実施した。 上記の数値解析および水槽試験を行うことによって、水車への逆テーパ翼採用と翼型断面形状を有するシュラウドでこの水車を囲うことの有用性を確認した。
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