平成25年度は平成23年度の検討において得られたPC全体からのリン系難燃剤の排出速度、平成24年度の検討によって得られた電源ユニットなどPCの各部位からの排出速度から各化合物のヘンリー定数および蒸気圧に基づいて、部位ごとの各化合物の含有量を類推した。 加えて平成24年度の報告書に記載したように平成24年度中は1台しか実施できなかったマイクロパッシブサンプラーを用いた検討について、本年度は新たに4台追加で実施し、その評価特性および部位ごとの放散特性について一定の不変性を有する結果を得ることができた。 各部位からの放散特性の傾向としてはリン酸トリフェニル(TPhP)及びリン酸トリスクロロエチル(TCEP)の2種の輪形難燃剤についてはすべての機種において普遍的に検出され、TPhPに関してはいずれの機種においても電源ユニットから高い濃度での排出が確認された。一方でTCEPに関しては中央演算装置(CPU)近傍においてTPhPよりも最大で1オーダー程度高い濃度で検出されるケースが見られたが、その濃度やほかの塩素化OPEとの組成比は機種によって異なっていた。排出濃度そのものはCPUと比較して1オーダー程度低いものの、同様の傾向は主記憶装置(HDD)および映像演算装置(GPU)近傍においても確認された。これらの塩素化OPEは主として基盤および基板上に実装されている各種の回路装置に由来していると考えられ、その実装数や種類に応じて変動したと考えられた。 これらの化合物の含有量を試算した結果、各化合物の含有率は0.01~数wt.%のオーダーで含まれると予想され、難燃剤用途の含有量とおおよそ一致する濃度からそれよりも2オーダー程度低い値であった。これらの化合物の中でも数wt.%のオーダーでの含有が予想されたTPhPおよびTCEPについては難燃剤用途の天下と考えられた。
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