研究課題/領域番号 |
23710108
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
TARHAN Mehmet C 東京大学, 生産技術研究所, 特任研究員 (50582839)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 分子移動システム / 直接分子操作 / イメージプロセス / MEMSピンセット / 微小管 |
研究概要 |
本研究は、細胞内で生体分子を輸送するキネシン・微小管のシステムを,微小管1フィラメントずつの個別操作方法を確立してシステムの再構成を実現することで、極微量の化学物質の処理が可能なチップを創製することを目的としている。平成23、24年度の期間において、MEMS技術で製作したピンセットにより微小管一本を捕獲してチップ上に並べ望みの形の搬送路をくみ上げる手法を元に、微小管ネットワーク上でキネシンを付加したビーズを動かす技術を開発し、ビーズを介して対象物質を運ぶことで、微量物質反応システムの実現を目指す。 本年度は、ほぼ計画通りに研究を遂行できた。微小管をあらかじめ固定する方法として、SU8ポリマーのマイクロ構造をガラス上に構築した。シリコンナノピンセットにPLLをコートし、微小管一分子を捕獲、再配置できることを示した(課題1)。微小管の極性の向きは、蛍光染色をほどこしたチューブリンから微小管を重合させることにより、微小管の片側末端のみ蛍光を持たせることにほぼ成功した。(課題2)。ただし、市販の蛍光標識チューブリンに問題があることがわかったため、来年度も最適化を続ける必要がある。微小管を個別捕獲し、再配置する作業を繰り返し、効果的に微小管ネットワークを構築するためには、微小管の位置情報を正確に知るイメージプロセスが必須である。これについては、アルゴリズムによる処理について検討した(課題3)。一方で、電動式のXY顕微鏡ステージを用意し、次年度の本格的な自動化システム構築の準備を万端とした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究で計画した3つの課題中、課題1「微小管の個別捕獲と再配置」、課題2「微小管の極性ラベリング」を達成した。課題2については、次年度の継続研究が必要であるが、健常な蛍光標識付きチューブリンを入手でき次第、容易に解決されると考える。課題3「微小管ネットワークの構築」については、イメージプロセスのプログラムを構築中であり、電動ステージも用意した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、微小管の極性ラベリングを完成させ、電動ステージとイメージプロセスによる微小管配置の自動システムを構築する。システム全体が完成したのちに、もし配置位置や移動距離などの微調整が必要であれば、マイクロデバイスを再設計することも念頭においている。 大きな計画の変更、問題点は徳になく、当初の計画通りに研究を遂行する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は、デバイスと自動システム全体の評価・実証を行うために、実験に必要なタンパク質やガラス、プラスチック器具などの消耗品を購入する。また、研究成果を国際会議で発表し他研究者との議論を行うため、旅費を計上する。
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