研究課題
本研究の目的は、干渉露光法と高真空蒸着法とを用い、希土類含有磁性半導体や磁性多層金属膜の周期アレイ構造を作製した後、磁気・光・電気の融合特性にナノ構造の特殊性が及ぼす効果を検証しマクロな磁気特性ならびに円偏光発光特性を制御することである。平成24年度は、前年に導入したイオンミリング装置によって、Fe層、GaAs層、Si層等のエッチングレートを算出し、磁性パタニングの作製準備が整えた後、作製したガドリニウム(Gd)と鉄(Fe)を含む、磁性半導体試料と磁性薄膜ラインパターンについてその磁気特性、光学特性ならびに電子状態について実験検証した。磁気特性では、マクロ磁化と試料厚みとに非線形性が確認されたことから、光磁気効果による表面磁化の測定を、イオンミリングにより膜厚制御した試料で行い、その表面応答が膜厚に依存することを確認した。特に磁気層が10nmの以下の領域では、光磁気応答が層厚みに依存して単調減少し、10nm以上では安定な一定値を示した。また光磁性半導体GaGdAsについて、Gd濃度を振った系統的な吸収測定を行ったところ、段階的なエネルギーバンド内吸収が確認された。これは、Gdドープに起因するバンド間準位の形成を示唆している。発光スペクトルではバンド間準位の発光は見られなかず、それらのエネルギーがフォノンを媒介とする間接遷移を伴うものと予想された。さらに磁性半導体の磁化が主にその電子軌道から来ているかについて放射光X線を使用した元素選択的なX線吸収実験を大型放射光施設スプリング8のBL-39XUにて行った。Gd吸収端におけるスペクトルに磁気吸収成分が確認されGd回りのスピンが偏極していることがわかった。その大きさはGd3+フリーイオンの大きさと比較したところ、おおよそ10~100分の1と小さかった。結果をまとめ、国際会議MBE2012,SSDM2012や学術論文に発表した。
すべて 2012 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件)
Transactions of the Materials Research Society of Japan
巻: 37 ページ: 197-200
巻: 37 ページ: 193-196
IEEE Magnetic Letters
巻: 3 ページ: 3500204-3500207