本研究は、固体高分子型燃料電池(PEFC)用カソード触媒として用いられている白金担持カーボン触媒(Pt/C)の耐久性の向上を目的としてPt/CのPtナノ粒子表面上にAuサブモノレイヤーを修飾し、Ptの溶解へ及ぼす影響についてEQCM法およびRRDE法を用いて評価した。まず、Pt/Cを模擬したAuサブモノレイヤー修飾Pt電極をUPD法を用いて作製し、EQCM法を用いて、その耐久性について評価した。その結果、Auサブモノレイヤーの被覆率は8割程度となった。これは、理論的には約66.7%の被覆率となるはずであるので、UPDに加えPtとAuの置換反応も若干進行している可能性が示唆された。また、本電極で電気化学的に加速劣化試験を行った場合、Au未被覆電極よりもPt溶解がみられる上限電位が上昇した。したがって、Auを被覆することでPtの溶解を抑制していることがわかった。 一方、市販のPt/C触媒のPtナノ粒子表面上にUPD法を用いてAuを修飾すると、その被覆率は約30%程度となった。先述のように理論値は66.7%であることから約半分以上のAuはPt上に被覆していないことが示唆された。調製した電極で同様に加速劣化試験をおこなったところ、表面積および質量比活性の低下がAu未被覆Pt/Cと同程度であることが確認された。したがって、低い被覆率ではPtの溶解速度に影響を与えていない、あるいは本質的にPt/Cの劣化因子として凝集によるPt粒径の増大が大きい可能性が示唆された。 以上のことから、Pt/Cの耐久性を向上させるためにはAuの被覆率を向上させる必要があることが示唆された。また、Pt/Cの劣化因子(溶解・凝集etc.)を特定していくことで現状以上の耐久性の向上が期待できると考える。
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