研究概要 |
金属ナノ粒子に対して平面分子が"面"で配位したπ接合金属ナノ粒子は、光を用いた還元触媒反応や光電変換といった様々な用途において有望な材料である。本申請研究においては、様々なサイズの金属ナノ粒子に対してポルフィリン誘導体を平面的に配位させたポルフィリンπ接合金属ナノ粒子を合成し、その光機能及び機能発現の支配要素の調査を行うことを目標とする。最終的には、光触媒や光電変換といった機能を有するπ接合金属ナノ粒子の創製を目指す。 本年度の研究においては、金属ナノ粒子に平面的に配位する特殊なポルフィリン誘導体であるSC0P, SC1P, SC2P(tetrakis-5α,10α,15α,20α-(2-acetylthiophenyl)porphyrin (SC0P), tetrakis-5α,10α,15α,20α-(2-acetylthiomethylphenyl)porphyrin (SC1P), tetrakis-5α,10α,15α,20α-(2-acetylthioethylphenyl) porphyrin (SC2P))を合成し、これらを保護配位子としてπ接合金ナノ粒子の合成をおこなった。合成されたπ接合金ナノ粒子のうち、SC1PおよびSC2Pに保護されたπ接合金ナノ粒子の構造決定は終了しており、金ナノ粒子を内接球、ポルフィリンを面とする立方体状の構造をとることが、透過型電子顕微鏡観察、質量分析および走査型トンネル顕微鏡観察の結果から明らかになった。また、π接合金ナノ粒子の吸収スペクトル測定から、ポルフィリンと金ナノ粒子間に強い電子的な相互作用が働いていることが示唆された。これら一連の研究結果は論文としてまとめられ、国際的な学術誌であるJournal of American Chemical Societyに掲載された。
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