研究概要 |
本研究課題では,シリカ/水/界面活性剤系メソ構造体の形成する四面体細密充填(TCP: Tetrahedrally Close-Packed)構造の構造変化と秩序形成メカニズムを明らかにする.今年度は,(1)Pm-3n構造(A15型構造)とその類似構造における構造変化の解明,(2)十二回対称準結晶構造をもつメソ構造体の探索を行った.構造規定剤としてアニオン性界面活性剤をもちいたメソ構造体(ケージ型シリカメソ多孔体)において,Pm-3n構造(A15型構造),Cmmm構造,P42/mnm構造(σ構造),P6/mmm構造の存在を透過電子顕微鏡法により明らかにした.これら一連のメソ構造は各構造に依存した特定の方位に沿った投影構造(透過電子顕微鏡像)が,正方形と正三角形の二次元タイリングとして表される.これらはそれぞれ{4,4,4,4}(Pm-3n構造),{3,3,3,4,4}(Cmmm構造), {3,3,4,3,4}(P42/mnm構造),{3,4,6,4}(P6/mmm構造)で表されるアルキメデスリングに一致する.また,正方形と正三角形がランダム配列し,その電子回折パターンが十二回対称を示す構造をもつメソ構造体が観察された.この構造が示す二次元タイリングは,正方形と正三角形の数の比(T/S)が,σ構造(T/S=2)とP6/mmm構造(T/S=2.67)の間に存在し,理想的な十二回対称準結晶が示す値(T/S=2.31)近いことが明らかになった.
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