研究課題
ケージ型メソ孔をもつ規則性多孔質材料であるメソポーラスシリカの中でも四面体最密充填(TCP: Tetrahedrally Close-Packed)構造をもつ系は,結晶学的に独立な二種類以上のサイトに特定の多面体(12,14,15,16面体)が配列した構造として記述でき,金属間化合物などで見られるFrank-Kasper相と類似の多種多様なメソ構造を示す.それらの構造変化を主に電子顕微鏡法をもちい明らかにし,秩序形成について議論する.前年度までに,アニオン性界面活性剤をもちいた系において,Pm-3n構造(A15型構造),Cmmm構造(H構造),P42/mnm構造(σ構造),P6/mmm構造の存在を透過電子顕微鏡(TEM)法により明らかにした.これら一連のメソ構造は特定の方位に沿った投影構造(TEM像)が,正方形と正三角形の二次元タイリングとして表される.本年度は,σ構造とP6/mmm構造の間に存在する十二回対称性を示すメソポーラスシリカ準結晶の作製と構造評価を行った.メソポーラスシリカ準結晶は十二角柱状の結晶外形を示した数ミクロンの粒子で,その十二回対称軸方向のTEM像は正方形と正三角形の二次元タイリングとして表される.中央部に十二回対称準結晶が形成し,周辺部は12個の結晶ドメイン(Cmmm構造等)で形成されていることが明らかになった.この準結晶構造は,界面活性剤ミセルが非平衡構造成長過程の中で複数の配置の競合のもと形成されたと考えられる.
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