研究課題/領域番号 |
23710143
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
飯嶋 益巳 名古屋大学, 生命農学研究科, 研究員 (40390728)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | バイオナノカプセル / イムノアッセイ / マイクロアレイ / 生体分子 / バイオイメージングプローブ / 抗体の整列化 / 高感度化 / イムノセンサー |
研究概要 |
研究代表者らが明らかにしたZZタグ提示型バイオナノカプセル(ZZ-BNC)による抗体整列化技術(Iijima et al., Anal. Biochem.(2010); Biomaterials (2011a))を応用展開し、抗体-標識分子-ZZ-BNC複合体を用いて、バイオイメージング分野において従来不可能であった、同動物種・同サブクラス由来の抗体を用いた多種類の抗原の同時マルチカラー検出法「IRODORI」技術の開発を目標とした。ウェスタンブロット法および培養細胞の免疫染色において、抗体-Cy(蛍光色素)-ZZ-BNC複合体を用いた高感度マルチカラー解析手法を確立した後、フローサイトメトリー解析(FACS解析)への応用を検討した。具体的には、ヒト扁平上皮がんA431細胞に発現する細胞表面レセプターEGFRおよびインテグリンを、抗EGFR抗体(mouse IgG2a)-Cy2-ZZ-BNC複合体および抗インテグリン抗体(mouse IgG2a)-Cy5-ZZ-BNC複合体により、フローサイトメーターFACSCantoII (BD) を用いて測定した結果、蛍光標識二次抗体で検出する従来法に比べて、抗原の検出感度が同等または上昇することを見出した。さらに、マルチカラーイメージングでは、上記2種類の複合体を同時に用いて、2種類の抗原の同時検出に成功した。以上より、蛍光標識ZZ-BNCのバイオイメージングプローブとしての有効性を明らかにし、「IRODORI」技術の開発を達成した。なお、これらの研究の成果は、原著論文((1), Iijima et al., Biomaterials, 32, 9011-9020 (2011b))、著書(2)、学会(国内2, 国際2, 招待講演1)にて発表し、社会・国民に向けて発信を行ったことから、本研究の意義、重要性は非常に高いと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
抗体-蛍光標識-ZZ-BNC複合体を用いた多種類の抗原の高感度同時検出が可能なIRODORI 技術の開発は、原著論文((1), Iijima et al., Biomaterials, 32, 9011-9020 (2011b))、著書(2)、学会(国内2, 国際2, 招待講演1)にて発表を行ったことから、当初の計画通りに目標が達成できたと考える。また、蛍光色素以外の標識分子として、金コロイド粒子を用いた抗体-金コロイド-ZZ-BNC複合体による免疫電顕のマルチイメージングについて、金コロイド-ZZ-BNCの標識方法、抗体-金コロイド-ZZ-BNC複合体作製方法などの検討を行っており、おおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度に得られた結果を基盤技術として、抗体提示型ZZ-BNCを用いた抗体ナノアレイ法(IRODORAY 法)の確立を目指す。抗体ナノアレイ法は、抗原蛍光標識法およびラベルフリーマルチSPR法について検討する。両手法とも、まず抗体の特異性を明らかにするために、1~数種類の抗原について検討し、小規模スケールでの解析方法の確立を試みる。その後、現在、臨床現場で使用される各種腫瘍マーカー、ヒト疾患データベースやマイクロアレイデータベースの最新データから新規癌腫瘍マーカーとなり得るタンパク質を用いて、中~大規模スケールの抗体ナノアレイ技術の確立を検討し、抗体提示型ZZ-BNCを用いた抗原蛍光標識法による迅速測定可能な超高密度抗体ナノアレイ法およびリアルタイムかつノンラベルで解析可能なマルチSPR法による超高感度抗体アレイ法である「IRODORAY」技術の開発を目指す。なお、これらの研究により得られた成果は、原著論文、学会、ホームページ等で幅広く発表する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度と同様に、主に物品費(消耗品費)、旅費(学会発表(国内、国外))、その他(論文投稿費、印刷費)について使用する。なお、物品費は、一般試薬、ガラスおよび使い捨て器具、蛍光標識試薬類、ガラス基板、SPR用金基板、特に抗体試薬等を主とし、消耗品費について大きな違いがないように使用する。
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