研究課題/領域番号 |
23710152
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
栗田 僚二 独立行政法人産業技術総合研究所, バイオメディカル研究部門, 主任研究員 (50415676)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | DNA / メチルシトシン / エピジェネティクス |
研究概要 |
現在、血液や尿などの体液中に含まれる各種生体成分を検出することは、病気の早期発見や診断、さらには治療方針を決定する上で極めて重要である。本研究では、ナノ構造基板上での表面プラズモン共鳴(SPR)現象を利用し、DNAのメチル化状態を迅速検知する新手法の提案、基礎特性評価及びデバイス化を行うことである。従来、抗体を用いる手法ではDNAメチル化の量的情報は得られるものの、位置情報を得られなかったため利用価値が乏しかった。そこで、2本鎖DNAの"歪み"を利用した位置選択的な抗体認識と、SPR法による迅速計測に挑戦する。これにより、測定対象DNA中に含まれる任意領域の迅速なDNAメチル化センシングデバイス開発を目指す。 本年度は、ミスマッチ箇所を有する2本鎖DNAとメチル化シトシン結合タンパクとの相互作用を明らかにし、タンパクによる任意領域のメチル化検出法に最適なプローブDNAの探索を行った。ミスマッチ箇所の大きさを1塩基から最大7塩基まで変更し、これに対するタンパク質の相互作用計測を行った。具体的には、先ずマイクロプレートにキャプチャー用の1本鎖DNAを固定化した。その後メチル化シトシンを含有する1本鎖DNAを導入、インキュベーションすることで2本鎖DNAを形成させた。さらにメチル化シトシンと結合するタンパクを導入し、このタンパクを西洋わさびペルオキシターゼで標識することにより検出を行った。用いるキャプチャーDNAの配列を変化させることで形成する2本鎖DNAの構造を変化させた。また検出対象のDNA中に含まれるメチル化シトシンの量及び位置を変化させた。これにより想定される2本鎖DNA構造とタンパク質の相互作用の変化についての知見を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画書通りの実績であるため。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、23年度に得た知見を元にSPR測定を開始する。具体的には、金薄膜上にタンパクもしくはDNAを固定化し、この基板上へ導入するDNAもしくはタンパクとの相互作用を、SPRの変化から読み取ることによりメチル化シトシンの迅速検知を実現する。
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次年度の研究費の使用計画 |
雇用していた非常勤職員が平成23年度途中で退職した。平成24年度から、新規に非常勤職員を雇用予定である。また、非常勤職員が測定に用いるDNAの合成費用、タンパクの購入、SPRデバイスの試作を行う予定であり、これらにも費用が発生する予定である。
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