研究課題/領域番号 |
23710153
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
山口 浩 東海大学, 阿蘇教養教育センター, 講師 (00466236)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 酵素固定化 / マイクロリアクター / 高分子合成 |
研究概要 |
初年度は研究計画に基づき、ラッカーゼ酵素の固定化条件を確立した。酵素の等電点(pI)は一般的にpI = 4~6であり、効率のよい酵素の固定化にはポリリジンを必要とする。固定化条件を最適化するため、異なるサイズのポリリジン2種を用い、固定化率および触媒活性を比較した。加えて、架橋剤の濃度が高い場合は固定化率が高いが活性低下が起こりやすい、一方、低い架橋剤濃度では活性は保持されるが固定化率は低くなることが考えられるため、固定化反応の架橋剤濃度の最適化も合わせて行った。これらの実験はサンプルチューブ内で行い、迅速に比較・検討した。また固定化されたラッカーゼの触媒活性評価には合成基質を用い、その吸光度変化を96穴タイタープレートリーダーにより評価した。その結果、ラッカーゼ固定化マイクロリアクター作製に最適な固定化条件を決定した。この結果をふまえて、マイクロリアクターの作製を行った。操作にはこれまで開発・利用している二重管構造のデバイスを用いた。ラッカーゼ固定化マイクロリアクターの触媒活性は合成基質を用いて評価し、サンプルチューブ内での固定化酵素と同様に触媒活性を保持していることを確認した。また、研究結果は論文発表と学会発表を行い、国内外に発信した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の研究計画はラッカーゼ酵素の固定化法の最適条件の検討であった。現在までに、その固定化法の確立とマイクロリアクター作製への適用を行った。また、初年度に得られた研究結果は論文発表と学会発表を行っている。その為、研究はおおむめ順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は作製したラッカーゼ固定化マイクロリアクターを用いた高分子の合成を行う。モデルとしてポリアクリルアミドの合成を検討する。ラジカル分子は2, 4-pentandioneを基質として調製し、モノマー分子にはアクリルアミドを用いる。ラッカーゼによる2,4-pentandioneの処理量、即ちラジカル分子の生成量はその後のモノマー分子の重合反応に重要と考えられる。そのため、マイクロリアクターの長さと内径を適宜変更して、最も効率のよいマイクロリアクターの形状を見いだす。合成高分子の数平均分子量および分子量分布は、モノマー分子の流入速度、反応温度、重合反応部のチューブの長さと内径を調節することにより制御可能と考えられる。また、必要であれば、カオスミキサーを用いることで効率的な重合反応を行う。加えて、重合反応では溶存酸素がその反応効率を低下させる可能性がある。その為、モノマー分子溶液を脱気することで、酸素濃度を低く抑え、反応効率を改善する。合成された高分子の分子量および分子量分布度の評価は既存のHPLCを用いたゲル濾過クロマトグラフィーにより行う。研究成果は論文発表するとともに可能であれば、特許出願を行い、積極的に国内外に発信を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
初年度は計画していた研究課題が順調に進展した。その為、予想していた試薬や消耗品を購入する必要がなく、研究費に繰越金が生じた。そこでこの繰越金で、少量のサンプル量で結果の検討が可能な超微量パーソナル分光光度計を購入し、迅速な分析に利用する。また、最終年度も引き続き各試薬、マイクロリアクター作製材料と消耗品を購入する。加えて、論文投稿時の英文校閲および、学会発表などの成果発表に研究費を使用する。
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