本研究では、最も簡便かつ汎用的な静置水和法を用いて均一サイズの単層膜ジャイアントリポソームアレイの形成技術の確立を目的としている。平成24年度は、様々な混合脂質構成において単層膜リポソームを形成・アレイ化することを目的とした。また、形成したりポオソームの回収技術についても開発を行った。 均一サイズリポソームアレイの形成は、微細な導電/絶縁パターニングを基板に施し、エレクトロスプレー法(高電圧を対象溶液に印加することで液を電場勾配に沿って噴霧させる技術)を用いてその導電性部分のみに脂質を選択的に塗布することで達成した。この前年度成果を発展させ、より生体膜に近い様々な脂質分子から構成されるリポソームの形成を試みた。条件検討を重ねることで、3成分系での均一サイズリポソームアレイ形成に成功した。 リポソームの操作技術は、誘電泳動現象を利用した手法を開発した。誘電泳動は不均一な電場中において誘電体に誘起される力である。本研究では微細なガラス針表面に一対の電極を配線し、交流電場を印加することで誘電泳動現象を起こし、細胞サイズのリポソームを一つずつ選択的に操作・回収することに成功した。また、リポソームアレイ作製時のスプレー時間の検討により、アレイ状ではなく浮遊したリポソームを形成できることも明らかとなり、マイクロ流体デバイスやピペット操作などと組み合わせることでこれらの回収は可能になると考えている。 いずれの成果についても国際会議などで報告を行い、学術雑誌での公表に向けて準備を行っているところである。また当該機関における一般向けの報告会や公開資料でもこれらの成果について発表・記載をすることで、社会・国民への発信も積極的に行っている。
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