研究課題
平成23年度は以下の3つの課題に取り組んだ.(1)個別リハビリチャートの開発:ADL(日常生活動作)を構成する“要素動作”行うために患者に求められる“必要能力”を集約した知識ベースを材料として用いた.能力低下状態から健常な状態に回復する過程を数段階に切り分け,要素動作が達成可能になっていく過程をADL(移動,更衣,食事,整容,排泄,入浴)毎に可視化した.(2)統合リハビリチャートの開発:(1)で開発したADL毎のチャートを統合し,1つのリハビリチャートへの統合を行った.(3)リハビリパス設計モデルの開発:既存の「訓練導出モデル」をベースとした.“リハビリチャート上の2つの中間状態をとして訓練導出モデルにインプットし,2点間の遷移に必要な訓練を導出することを繰り返す”ことによってリハビリパスを設計する機能を定義し,合理的な思考プロセスと必要な知識ベース構造を設計した.平成24年度は,以下の2つの課題に取り組んだ.(4)システムプロトタイプの開発:(3)で開発したリハビリパス設計モデルに基づいて,必要な知識ベースをExcel上で構築し,VBAを用いて設計過程を実行可能なアプリケーションを開発した.(5)モデルの妥当性の検証:(4)の結果を用いて,3病院における過去症例にリハビリパス設計モデルを適用することで妥当性の検証を試みた.適用の結果,回復過程を段階的に切り分けて訓練を実施していくことの妥当性は示唆された.ただし,同じ能力障害を持っている患者でも,回復経路が異なるケースが存在することが示唆された.原因としては,モデルの能力体系と訓練体系が「能力障害」をベースにしていることが挙げられる.国際障害分類(のちの国際生活機能分類)では,機能障害,能力障害,社会的不利の3階層で障害を捉えている.開発したモデルは機能障害や社会的不利には対応しておらず,この点については今後の課題である.
すべて 2013 2012
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) 図書 (2件)
Nursing Research and Practice
巻: 2013 ページ: ID 630239, 11p
品質
巻: 42(4) ページ: 121-134