研究課題/領域番号 |
23710182
|
研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
山田 哲男 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (90334581)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
|
キーワード | 製品ライフサイクルマネジメント / 循環型サプライチェーン / シミュレーション / 可視化 / 環境対応 |
研究概要 |
本研究では、リユース・リサイクルによる製品の資源循環におけるモノの流れに着目し、組立・分解作業に伴う製品/素材の価値・利益の創出とともに、物流のエネルギー消費で排出してしまう配送・回収のCO2排出量の削減を同時に目指して、資源循環による生産・物流の経済性と環境負荷についての見える化と評価を行う。本年度の主な研究成果は以下である。1.再生される素材価値を考慮したリサイクル生産システムについてモデル化を行い、シミュレーション実験を行って再生素材価値の変化がもたらす経済的な影響を検討した。2.使用済み製品を再生する分解生産のシステム構成について、製品仕分け型と素材仕分け型に分類して整理した。また、素材仕分け型の分解システムをモデル化してシミュレーション実験を行い、製品の部品構成や各ステーションで分解される仕分け素材数がシステムの生産性や経済性に与える影響を分析した。3.循環型と低炭素型のサプライチェーンに関して、環境に調和しかつ経済的な設計のための課題を整理した。また、地球環境問題における資源循環とCO2量削減は相互に関係しており、統合的に議論される可能性について言及した。 研究成果の一部は、国際セミナーやシンポジウムでの招待講演や、国際会議・国内学会で研究発表を行った。また、国際会議に合わせて渡航した環境先進国ドイツにおいては、生産・物流システムの研究・実践拠点を複数訪問した。先端研究の実験室や工場の見学を行うとともに、研究者や実務家らと最新の研究や欧州事情について意見交換を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の主な成果として、循環型生産・物流システムにおける分解システムを対象に、リサイクル分解システムや素材仕分け型分解システムのモデル化ならびにシミュレーション実験を行ったことが挙げられる。この結果、再生されたリサイクル素材価格の変化や、分解・仕分けのシステム構成の違いがもたらす生産性ならびに経済性の影響について、基礎的な知見を得ることができたと考える。 さらに、環境に調和しかつ経済的な循環型と低炭素型のサプライチェーンに関する設計課題の整理や、環境先進国ドイツにおける生産・物流システムの研究・実践拠点の見学とそこでの意見交換の実施が挙げられる。こうした整理や調査で得られた情報は、今後開発する生産・物流システムのモデルに反映することができるため、より実用的な設計基準づくりに貢献したと考える。 以上より、本研究の現在までの達成度は、おおむね順調に推移していると考える。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進として、これまで開発してきた分解システムのモデル(リサイクル、仕分け)と実地調査で得た最新の循環型生産の事情にもとづき、部品構成や素材価値の変更など製品・素材の価値が異なる場合のシミュレーション実験を重ねることによって、循環型生産システムの設計基準を明らかにしていくことである。 また、循環型生産システムとの融合へ向け、物流システムの実地・文献調査を行ってモデル化の検討を開始する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
本年度は、研究代表者の所属機関異動ならびに研究室移転があり、当初予定していた研究設備の購入や研究協力者の謝金の一部については用意することができず、次年度に予定する研究費が生じた。翌年度には、研究室や研究協力者が整備・確保されるため、シミュレーション実験の設備購入やその研究協力者の謝金、また研究の遂行に伴う研究成果発表費用などに研究費を充てる計画である。
|