研究課題/領域番号 |
23710188
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
柴山 明寛 東北大学, 災害科学国際研究所, 准教授 (80455451)
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キーワード | 実室内被害把握 / センシング技術 / 家具転倒 / AR技術 |
研究概要 |
本年度に関しては,昨年度に実施した内容について再度方法論の精査を行った.また,(3)要救助者の救助支援を効率化するための共助・公助の連携方法,(4)室内の実被災状況を含めた被災地全域の被災情報の提示方法,2点について研究を行った.そして,一昨年度に実施できていなかった(2)要救助者の救助のために必要となる情報を明らかにすることと救助側への情報提供方法の2点について,仙台市消防局のヒアリングを実施した. (2)要救助者の救助のために必要となる情報及び,(3)共助・公助の連携方法については,仙台市消防局において東日本大震災で実際に活動を行った消防隊員及び自主防災組織を所管する部署についてヒアリングを実施した.その結果,要求助者の救助になる情報として,震災直前の居住者の有無の情報が重要であることと,また,生き埋めになった場所の大まかな情報が必要であることがわかった.また,情報提供時期,情報提供内容,消防隊員が不足した際の自主防災組織の対応方法についても知見が得られた.共助・公助の連携としては,居住者が避難したことがわかることが重要であり,地域に根ざした自主防災組織の情報網が重要あることがわかった. 次に,(4)被災情報の提示方法については,AR(拡張現実)を利用した被災情報の提示方法が有効であることが,消防隊員のヒアリングからわかった.また,消防隊員の装備の関係から携帯端末では,手が塞がってしまう問題があることがわかった.しかしながら,要救助者の場所をARで視覚的にわかることについては有効性があることがわかった.ARの階数の上下方向の表現方法について,本年度開発したシステムでは建物の階数で表示していたが,これでは,直感的にはわかりづらく,階数表示と共にAR表示も縦方向の表示の検討もしなくてはいけないことがわかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一昨年に実施することができていなかった消防へのヒアリングを本年度実施したことにより,一昨年の遅れを挽回することができた.
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今後の研究の推進方策 |
仙台市消防局のヒアリングした結果を基に,システムの一部改修を行う,また,システムの有効性を示すために実際の住宅,オフィスビルを使用した実験を行う.実験の際は,消防隊員や自主防災組織に実際に使用してもらい,有用性等の判断等を行う.その結果を基に方法の見直しやシステムの実装方法の見直しを図る. また,東北地方太平洋沖地震の文献整理については,本年度も実施したが,さらなる研究を高めるために再度文献調査や実際にヒアリングを実施し,現場での問題点等を洗い出し,それをシステムに反映させることを考えている.
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次年度の研究費の使用計画 |
今後の研究についても示したが,東北地方太平洋沖地震の文献の調査整理について,さらなる調査を行うために研究補助の人件費が必要である.また,システムの軽微な改修のためにも人件費が必要となる. 物品については,本年度は,1台の端末で十分テストができたため,一台のみの購入であったが,次年度は,複数端末の連携のために追加で2台を購入する. 本年度の研究成果を国際学会や国内学会等で発表を行うための成果発表旅費が必要となる.
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