研究課題/領域番号 |
23710190
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
茂木 俊夫 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (50392668)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 安全工学 / 燃焼工学 / 高圧水素 / 衝撃波 / 自己着火 |
研究概要 |
(1)瞬間放出装置および高圧模擬実験装置の開発 従来の実験装置では、隔膜の強度限界に依存して破膜して放出していたため、隔膜の厚さや取り付け方法による放出圧力のばらつきが着火条件に大きく影響した。そこで、針を用いて破膜する機構を持つ瞬間放出装置を開発した。これにより、任意の貯気圧に設定して針で隔膜を破膜することができるようになり、放出圧力を正確に制御することが可能になった。また、設計・製作したバッファタンクを用いた実験により、大気圧下に高圧可燃性ガスを放出し着火した場合にも、安全に現象を計測できるようになった。さらに、バッファタンク内を減圧することにより、高圧状態を模擬できる実験の実施も可能になった。(2)自己着火現象の精密計測 新たに開発した瞬間放出装置を用いて、通常の配管から放出される可燃性ガスの着火現象について、配管の長さや放出圧力等の着火条件を計測した。申請者や他の研究グループが行なってきた研究結果では、着火条件にばらつきが多く見られ定性的な結果しか得られていなかったが、これにより着火条件に対して定量的な考察を行えるようになった。(3)熱流体計算による現象の解析 現象を理論的に把握するため、熱流体計算によるシミュレーションの準備を行った。高圧と低圧を隔膜で仕切った直管内のような単純な系におけるシミュレーションについて実験結果と比較することにより再現性を確認することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験については、予定にしたがって瞬間放出装置および高圧模擬実験装置を設計、製作し、さらに予備的に単純な条件での実験を実施できるようになった。シミュレーションについても境界条件の設定、メッシュの作成など、適切に実施できるような結果を得られるようになったため、おおむね順調に進展していると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
高圧を模擬した実験を実施し、高圧条件での着火条件を明らかにするとともに、実際の事故を想定した噴出(障害物等に衝突して噴出)における着火危険性について、明らかにすることを試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
これまでの研究成果をまとめ、産業爆発に関する国際シンポジウムにて発表を行うため、旅費として使用する。 実際の事故を想定した着火危険性について調べるため、放出ノズルを製作するとともに、可燃性ガスおよび消耗品(継手、圧力センサー等)を購入する。
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