研究課題
本研究では、電磁気現象を利用し、小型電磁気センサをボルト頭部に近づけるだけでボルトの緩みを短時間で簡便に検査が可能となるセンサの開発を目的とした。まず、高張力ボルトとして多く使用されるSCM435鋼材を弾性領域の最大値である400MPaまで圧縮し、各圧縮応力に伴う磁化曲線と電気抵抗率の測定を行った。その結果、圧縮方法における透磁率は、圧縮応力に比例して低下することを確かめた。しかし、電気抵抗率の値に変化は見られなかった。ボルトは締付力が増大するとボルト頭部側面やナット部で圧縮応力が増大する事が考えられる。そこで、締付け力によって圧縮されたボルトやナット頭部側面の透磁率変化を非接触で検出することでボルトの緩みが評価できると考え、この透磁率変化を大きく捕らえられる電磁気センサの設計を、有限要素法を使用した応力を考慮する非線形電磁界解析によって行うと共に、検査原理の解明を行った。また、検証実験も行い、その有用性が確かめられた。次に、実用化を視野に入れ、大型トラックのホイルを締付けているISO規格の高張力ボルトと、JIS規格の高張力ボルトの2種類に限定して実用化における検証実験を試みた。その結果、ペンキ等でコーティングされているボルトや、頭部に刻印などの凹凸の激しいボルトにも理論的には適用可能であったが、実際の大型トラックでのボルト検査実験では、ボルト自体の腐食や、ボルト形状の損傷度合いによって検出信号の不均一性が得られた。これらの検出信号の不均一性を除去するため、数多くの実験データを測定し、フィルタリング機能を付加することで、実用化させる試みを実施している。なお、この検査技術に関する特許を現在作成中で、近日中に特許出願を予定している。
すべて 2013 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件)
IEEE Transactions on Magnetics
巻: vol.49,no.5 ページ: 2053-2056
鋳造工学
巻: 85 ページ: 872-880