自動車衝突事故が発生した際に,車載衝撃加速度データを活用し,乗員の生理学的重症度,年齢衝撃耐性データから,乗員の緊急度・重症度をリアルタイムで判断する救命予測アルゴリズムを開発した. 第1に日本外傷データバンクデータを用いた約2万件の大規模交通外傷データのマクロ統計解析を行った.その結果,年齢55歳以上で救命率が減少する特徴を捉えた.特に,年齢が55歳以上では,同程度の衝突事故でも意識レベルが1段階悪化することより,早期の救命要請に必要な要因であることが分かった. 第2に救命センターを拠点とした事故実態調査より,シートベルト外傷が多く胸腹部に発生していることがわかった. 以上の結果をもとに,救命予測アルゴリズムを作成した.作成したアルゴリズムは,プロトタイプのドライブレコーダーとして実装し,小型電気自動車に搭載した.衝撃加速度および衝突方向,年齢に加え,シートベルト荷重ならびに意識レベルを把握する呼吸数計測デバイスを組み込んだ.以上より,将来の車載システムへの実装可能性を見出すことができた.
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