研究課題/領域番号 |
23710202
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
西山 昭仁 東京大学, 地震研究所, 研究員 (50528924)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 歴史地震 |
研究概要 |
本研究の目的は、前近代(明治時代以前)に発生した歴史地震を対象として、時代別・地域別の建造物の特性に基づいて被害状況を基準化し、それに依拠した確実度の高い震度推定の基準を確立することである。そのためには、歴史地震における震度推定を行う際に、建造物の被害状況だけではなく、その特性や履歴について可能な限り基準化の対象とし、様々な基準を組み合わせた相互分析に基づいて被害状況の評価を厳密に行う必要がある。このような多角的な分析を行うことによって、従来よりも客観的で妥当性の高い被害程度を導き出し、より確実度の高い推定震度を求めることができると考える。そこで本研究では、前近代に幾度の被害地震に遭遇しながらも、当時の工法で造られた建造物が数多く現存している近畿地方の内で、特に京都・奈良・大津といった都市域を対象として、歴史地震における被害状況と建造物の特性との関係を分析していく。 平成23年度は、基本的に史料・文献調査を実施し、歴史地震による建造物の被害が記された新たな史料や、文化財修理報告書・建築史関連論文など関連資料の収集・分析を行った。また、既刊の地震史料集に所収されている史料群から信頼性の高いものを選び出し、そこから京都・奈良・大津での被害地震の記述を抽出して、被害状況の分析を実施した。特に、1830年に発生した文政京都地震における京都盆地での被害状況について分析を行い、当時の京都市街地を構成していた桟瓦葺屋根の町家が地震に対して脆弱であり、それらが地震によって多数倒壊したために、京都での物的・人的被害が拡大した状況を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の方法として最初に、京都・奈良・大津といった都市域に被害を及ぼした被害地震に関して、既刊の地震史料集に所収されている史料から信頼性の高いものだけを選び出す必要がある。また、史料・文献の調査を実施して、新たな地震史料や文化財修理報告書・建築史関連論文といった、基本となる史・資料の収集が不可欠である。 これらの基本的な作業の内、最も史料の多い京都での調査・収集については順調に進捗しており、1830年の文政京都地震における京都盆地での被害状況については、史料の分析も進んでいる。今後、京都に関する史・資料については、分析に供するものをさらに選定していき、奈良・大津については、史・資料の調査・収集を本格的に実施していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、平成23年度に引き続き、歴史地震による建造物の被害が記された新たな史料を調査・収集する。また、歴史地震による被災歴を有する京都・奈良・大津の城郭・寺社・民家などの建造物について、主に文化財修理報告書・建築史関連論文などを調査・収集する。さらに、史料上・文献上で被災した履歴のある建造物の場所について、歴史学の研究成果を用いて現在の位置を特定していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は、京都・奈良・大津において歴史地震による被災歴を有する建造物について、城郭・寺社・民家などの事例を収集する。また、文献史料・文化財修理報告書・建築史関連論文などから、地震で被災した建造物の築年数や修復の有無といった履歴を調査・分析する予定である。 そのため、京都府立総合資料館など資料保存機関への出張調査を行い、未刊行の地震関連史料の収集ならびに文化財修理報告書・建築史関連論文などの資料を収集する必要がある。また、収集した文献史料の翻刻作業や建造物の被災歴・修復歴の整理作業については、アルバイトを雇用して作業の効率化を図り、歴史地震被害基準データベースの構築に向けてデータ作成を行う。
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