本研究では,断層粘土の直接年代測定法の確立を目的として,断層試料からの粘土鉱物の高純度分離法を構築し,鉱物学的解析および感度法によるK-Ar年代測定を試みた.その結果,細粒の試料ほど若い年代が得られ,より低温(約100℃)で晶出する粘土鉱物の割合が高いことが明らかになった.しかし,さらに低温で晶出する鉱物についてはKを含まないため年代が検出できず,年代値は断層の最終活動年代ではなく,約100℃以上での活動の最終期と解釈することが妥当だという結論に至った.今後,断層帯での粘土鉱物の晶出や年代測定の前提条件について基礎研究が必要である.
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