• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2012 年度 実施状況報告書

高時空間分解能気象レーダを用いたマイクロバーストの観測的研究

研究課題

研究課題/領域番号 23710209
研究機関大阪大学

研究代表者

吉田 智  大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00571564)

キーワード高分解能レーダ / センサネットワーク / マイクロバースト
研究概要

ダウンバースト(DB)とは,発達した積乱雲の衰退期に発生する水平スケール数キロの局所的な強い下降気流で,その風速は最大70m/sに達する.航空機の離発着時にDBが発生すると最悪の場合墜落に至ることもあり、航空機安全運航に多大な影響を及ぼす。防災の観点からダウンバーストのメカニズムの解明および予測は不可欠である。本申請は雷放電が発生時に積乱雲内の電荷領域が消滅することから、DBが発生するという仮説に基づき、雷放電がDBに先行して起こることを観測から証明し、雷放電観測によるDB予測を目指す。
滋賀県長浜市において冬季の干渉計観測・レーダ観測を実施している。冬季積乱雲内の電荷構造を干渉計により推定可能であることを示すために、冬季で特徴的なupward lightningの標定精度を検証した。正極性リーダは、高度約1km、負極性リーダは一般的な正極性電荷領域(温度高度で-10℃から-20℃の間)で、それぞれ標定されていることが分かっている。これは一般的な冬季積乱雲の電荷高度に対応しいているため、LF帯干渉計による冬季積乱雲内の電荷構造の把握は可能であることを示した。さらにDBによる地表ドップラー速度の変化を正確にとらえるために、冬季特有の局所的なドップラー速度も求められるアルゴリズムを開発した。これによりマイクロバースト観測のめどが立っている。
今までのところマイクロバーストと考えられる事例の観測には成功していない。2013年度も観測を続けマイクロバーストと雷放電の関係を観測により明らかにする。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の予定通り観測体制を整えることができ、さらに観測を長期間にわたり実施することができた。さらに申請段階では予定していなかった事として、LF帯干渉計の観測範囲が予想以上に広いことも判明し今後の新たな展開を考えている。観測を実施したもののマイクロバーストが発生しなかったため、マイクロバーストと雷放電の因果関係は未解明である。しかしながら、観測体制を完成させられたことから、当初の予定を十分に達成したと考えている。

今後の研究の推進方策

研究計画書の予定通り、来年度も滋賀県長浜市の観測体制を運用し、マイクロバーストを捕らえることに注力する。またLF帯広帯域干渉計の観測器を増設し、高精度化および広域化を目指す。なお、今年度から来年度に少額(5,781円)だけ繰り越した。この少額では研究実行に必要な物品が購入できないためにこれを繰り越した。

次年度の研究費の使用計画

平成25年度では干渉計の増設をおこなう。それに伴う、A/Dコンバータ、パソコン、およびケーブル、コネクタ、抵抗などの電子部品を購入する。観測現地への旅費、および国内学会へ出席するためにその旅費も計上する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2013 その他

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Spatial relationship between lightning narrow bipolar events and parent thunderstorms as revealed by phased array radar2013

    • 著者名/発表者名
      Wu, T., Y. Takayanagi, S. Yoshida, T. Funaki, T. Ushio, and Z. Kawasaki
    • 雑誌名

      Geophys. Res. Lett.

      巻: 40 ページ: 1-6

    • DOI

      doi:10.1002/grl.50112.

  • [雑誌論文] Upward lightning observed by LF broadband interferometer2013

    • 著者名/発表者名
      Y. Takayanagi, M. Akita, Y. Nakamura, S. Yoshida, T. Morimoto, T. Ushio, Zen Kawasaki, and D. Wang, N. Takagi, H. Sakurano, Y. Kubouchi
    • 雑誌名

      IEEJ

      巻: 3 ページ: 132-141

  • [学会発表] 関西ネットワークにおけるLF帯広帯域干渉計を用いた観測結果2013

    • 著者名/発表者名
      高柳裕次、T. Wu、吉田智、牛尾知雄、河崎善一郎、中村佳敬
    • 学会等名
      日本大気電気学会
    • 発表場所
      東京理科大
    • 年月日
      20130109-20130110
  • [備考] Satoru Yoshida

    • URL

      https://sites.google.com/site/satoruyoshida1106/

URL: 

公開日: 2014-07-24  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi