研究課題
昨年度の実施状況報告書で予定していた,海溝付近で発生する浅部ゆっくり地震に伴う地殻変動について,熊野灘(東南海沖)に設置されたDONET (Dense Oceanfloor Network system for Earthquakes and Tsunamis) と呼ばれる観測網のうち,海底水圧計の数値モデリングを行い,定量的な見積もりを行った.その結果,DONETの各観測点における海底水圧計の変化は,同一ノード内での値を足し合わせたもの (stack値) からの差分によって,検地可能なレベルに達する可能性があることを示した.これは,同一ノード内では,海洋変動成分がほぼ変わらないのに対して,浅部ゆっくり地震に伴う地殻変動は,震源と観測点との距離が近く,ノード内でも変動センスの異なる変化が期待できるためであることを数値シミュレーションから定量的に裏付けた.また,stack値からの差分という簡便な計算により,リアルタイムモニタリングに適した解析手法といえよう.また,周辺のすべり速度場の揺らぎに伴う小繰り返し地震について,震源の揺らぎの方向から余効すべりの伝播方向が推定できることを示した.これらの結果は,今後展開される予定となっている,東北沖の海底ケーブル式観測網においても応用できることが期待されるものである.また,この成果は,査読付の国際学術誌に投稿し,米国地球物理学会秋季大会 (AGU Fall Meting) において招待講演での発表をするなど,国内外で研究成果を公表することが出来た.
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Marine Geophysical Research, ISSN 0025-3235
巻: (in press)
10.1007/s11001-013-9192-6
Earth, Planets and Space
巻: - ページ: in press
Proceedings of the 11th Society of Exploration Geophysicists of Japan International Symposium
ページ: 415-417
10.1190/segj112013-105