研究課題
ESCO1によるコヒーシンのアセチル化は、コヒーシンサブユニットPDS5を介して起こることを明らかにし、PDS5との直接的な結合に必要な領域(300-320a.a.)を同定した。この領域に含まれる302番目のセリン残基は、分裂期にAuroraBによりリン酸化され、分裂期におけるコヒーシンのアセチル化の抑制に機能しているの可能性がある。さらに、ESCO1のN末側(1-200a.a.)は、クロマチンに結合するのに必要で、この領域は、細胞クロマチン分画に含まれるコヒーシンのアセチル化に必須であることが分かった。一方で、ESCO2のアセチル化や姉妹染色体の接着には、PDS5は必要なく、複製開始タンパクOrcが関与すること、また、ESCO2は、MCMを含むDNA複製複合体と相互作用していることを見いだした。ヒトESCO2においても、コヒーシンアセチル化には、酵母やアフリカツメガエルと同様に、DNA複製を介するESCO2の活性の制御が必要であることを示す結果が得られた。ESCO1の染色体上の局在領域(8658カ所)は、ChIP-seq解析から、コヒーシンやCTCFと局在する領域と約9割一致し、上記の結果を裏付けるものであった。一方で、ESCO2のChIP-seq解析からは、ESCO1の局在領域数に比べ約半分しか得られず、さらにコヒーシンとの一致は、約6割程度であった。実際、プロファイルの結果を詳細に検証すると、かなりの擬陽性を含んでいる可能性が考えられた。このことは、ESCO2の局在がDNA複製に依存しているため、複製の進行とともに局在が変わることが考えられ、細胞の同調とを含めた更なる検証が必要であると思われる。
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